2009 Fiscal Year Annual Research Report
多糖類ゲルを化学反応リアクタとして活用した新規化学実験教材の開発
Project/Area Number |
21650215
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Research Institution | Tsukuba Gakuin University |
Principal Investigator |
高藤 清美 Tsukuba Gakuin University, 情報コミュニケーション学部, 准教授 (00279556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 正夫 茨城大学, 名誉教授 (90109794)
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Keywords | 科学教育 / 化学実験教材 / 化学反応リアクタ / 分析デバイス / 多糖類ゲル / 結晶成長 / 化学電池 |
Research Abstract |
本研究では、水を多量に含む多糖類ゲルの液相の特性に着目し、ゲル中の液相が形成するドメインを化学リアクタとして利用した新規化学実験教材を開発することを目的とする。 平成21年度は多糖類ゲルの物理的特性の研究、多糖類ゲル中での分子輸送、多糖類ゲル中での化学反応に関する研究を中心に実施した。 物理的特性の研究は、化学リアクタとして適当な材料を見出すことが目的である。多糖類として、アガロース、寒天、κ-カラギーナン、でんぷんを用い作成した多糖類ゲルの比較をおこなった。アガロースと寒天は、やや白濁した状態で、かなり固めなヒドロゲルを生成した。寒天の主成分はアガロースとイオン性の高いアガロペクチンであるが、アガロースと同等な硬さであった。κ-カラギーナンゲルは透明度が高く、固形ではあるが、かなり柔らかい。でんぷんの場合は糊状であった。この結果から、固い材質が必要な場合にはアガロースや寒天、透明な材質が必要な場合にはκ-カラギーナン、不定形な材質が必要な場合にはでんぷんが適切であることがわかった。 分子輸送に関する研究では、多糖類ゲル中での結晶成長実験をもとに検討した。でんぷん中でのミョウバンの結晶生成実験では、均一溶液を用いた場合に比べ、数倍の大きさの結晶が析出した。また、κ-カラギーナン中での酒石酸の結晶生成実験でも、均一溶液系に比べ、長さ、太さとも大きな結晶が析出した。以上より、多糖類ゲル中の分子輸送は、均一溶液中とは大きく異なり、分子の拡散が抑制される状態が形成されていることが明らかになった。 化学反応に関する研究では、化学電池の電解質を多糖類ゲルにより固体化する実験をおこなった。寒天ゲルを使用した実験では、均一溶液系と同等の起電力が発生することを確認できた。このことから、寒天ゲル中に形成されている溶液場は、均一溶液中と同等の特性を持つことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)