2010 Fiscal Year Annual Research Report
基本原理に立ち返った現象の理解能力獲得を支援する方法に関する研究
Project/Area Number |
21650226
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 章 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 教授 (00117152)
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Keywords | 学習支援システム / 課題探究能力 / モデル化能力獲得支援 / 物理学習支援 / 説明生成 |
Research Abstract |
本研究は、学習者の課題探求能力・問題解決能力を養うことを指向して、実世界の現象をモデル化する能力、現象の性質を考える能力の獲得を支援する学習支援システムの実現方法を明らかにすることを目指している。今年度は、物理を対象にして、現象を理解するモデルの構築を行った。また、対象領域の基本原理・基本法則を用いて対象について考えるきっかけを与える手段として、対象に関する質問応答を行う予定であるが、その準備として対象の説明を理解モデルから自動生成する方法について研究を行った。さらに、現象について考えるきっかけを与えるための手段として実験器具と測定装置を与えて自由に実験を設計する課題を与えた時に、学習者が作成した実験計画を診断して、考察が不十分な部分を抽出する方法について研究を行った。 現象の理解を表現するモデルとして、物理系を構成する部品の性質、系の構成を与え、物理法則を適用して力発生の因果関係を解析することで得られる力の因果関係を表現するモデルを確立した。このモデルには物体に働く力とそれらの関係、力を導くために使われた物理法則が記述されている。この情報をもとにして、系の説明を自動的に生成する機能を実現した。一連の説明を理解しやすくするためには、情報の提示順序が重要と考えられる。そこで数通りの方法を検討し、比較実験を行うことで因果関係が分かり易い説明の順序を決定した。 実験を設計するときに、多くの学習者は現象について詳細に考察することなく、公式を当てはめて対象系に存在するパラメータ間の関係を表現しようとする。そこで、公式を用いた解析方法を入力させ、観測物理量から実験目的を達成できるか、パラメータ間の依存関係に誤りがないかを診断する機能を実現した。この結果を力の因果関係のモデルと結びつけることで、基本法則に立ち返った理解を促す際の話題抽出が可能となる。
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