2011 Fiscal Year Annual Research Report
基本原理に立ち返った現象の理解能力獲得を支援する方法に関する研究
Project/Area Number |
21650226
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 章 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 教授 (00117152)
|
Keywords | 学習支援システム / 物理学習支援 / 実験計画診断 |
Research Abstract |
本研究は、学習者の課題探求能力・問題解決能力を養うことを指向して、実世界の現象をモデル化する能力、現象の性質を考える能力の獲得を支援する学習支援システムの実現方法を明らかにすることを目指している。今年度は、学習者が物理現象を考え始めるきっかけとなる、自由に実験を設計するための作業環境に必要な機能を検討し、実現した。そして、学習者が計画した実験を診断してフィードバックを与えることで、再考し実験計画を適切に修正できるかを評価した。 実験の設計環境は、学習者が実験設計にあたって考えたことを整理して記録するための道具であると同時に、記録された内容から支援システムが学習者の実験内容を把握し診断することも目的としている。そこで、両者を満足させる条件を検討し、実験目的、発生させる実験系の振る舞い、測定する物理量、実験結果の解析方法を記録することができる環境を実現した。また、測定物理量と振る舞いから得られる測定時点の情報から、解析方法によって実験目的が達成されるかを診断することで、学習者が物理現象を的確に認識しているかを診断する機能も実装した。診断には前年度までの研究成果を利用した。 完成した設計環境を利用して学習者が作成した実験計画を診断したところ、72%を正しく診断できた。診断を行うには診断システムに学習者が利用する可能性のある公式を事前に登録しておく必要があるが、予想していない関係を利用した学習者があり一部診断に失敗した。診断結果に基づくフィードバックの生成では、不都合がある部分を直接的に言及する方法と、抽象化してより間接的に言及する方法を実施した。今回の実験では、直接的なフィードバックを与えた場合には学習者は実験計画の見直しを行い、適切に修正することができた。一方、間接的なフィードバックを与えた場合には注目しなければならない部分に独力では気づかず、適切に修正することができなかった。
|