2009 Fiscal Year Annual Research Report
新型現場培養装置を用いた極限環境微生物群集の増殖および活性特性の解析
Project/Area Number |
21651001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内海 真生 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (60323250)
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Keywords | 生物海洋 |
Research Abstract |
本研究は、申請者自身が開発した採水機ROCSの時系列採水機能を用い、高温熱水噴出孔とその周辺環境に生息する微生物の増殖速度や増殖特性について現場培養から定量評価することを目的に、熱水噴出孔域で使用できる新型微生物培養装置を開発・作成する。具体的には、申請者が中心となり開発した深海用新型採水機(ROCS)と本申請対象である新型培養装置を組み合わせた現場培養実験を通じて、熱水噴出孔生態系内の各種微生物群集の増殖速度やメタン酸化速度など微生物に由来する各種活性の測定と定量評価を試みる。 H21年度は、新型培養装置の設計・作成を深海使用各種機器作成で実績のある日油技研工業株式会社と共同で行い、ROCSのフレームに装着可能な容量12Lのチタン製培養槽を作成した。作成した培養槽は、溶存ガス成分分析にも可能なO-リングによる密閉構造、培養槽からの試料採取時の周辺海水混入を防止する機能を組み込んだ。併せて培養槽からの時系列試料採取に必要なROCSクランプユニットの改良他を行った。作成した培養槽を組み合わせたROCS培養機を、H22年3月18日から23日まで海洋研究開発機構所有の研究船「なつしま」および無人潜水艇「バイパードルフィン」を使用した鹿児島湾調査(NT10-05航海)に持ち込み、海底でのテスト培養実験を実施した。3月19日午前の潜行で本培養機を水深200mの熱水噴出孔付近の海底に設置、採水管を通じて熱水の採取および現場培養を実行した。潜水艇による設置時間を見積もった上で、あらかじめ調査船上で培養プログラムを設定の上、2日間の現場培養を実施した。3月21日午前の潜行で培養機を回収し、現場培養が成功したか確認を行ったところ、成功していたことが判明した。現在、回収した試料中微生物群集の増殖速度について測定中である。
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