2009 Fiscal Year Annual Research Report
世界において二度と水俣病を起こさないための水銀汚染の原位置生物浄化技術の開発
Project/Area Number |
21651038
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 銀朗 Tohoku Gakuin University, 工学部, 教授 (80194033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 准教授 (20324014)
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Keywords | 水銀汚染 / 水銀浄化微生物 / 水銀耐性遺伝子 / 遺伝子多様性 / 遺伝子伝播 / トランスポゾン / 原位置レメディエーション / 原位置分子育種 |
Research Abstract |
世界的に見れば広範囲な水銀の環境汚染による水俣病と同じような健康被害が出現する可能性は高まってきている。特に、産業の工業化が近年著しく進行している発展途上国において、その出現リスクの高まりが明確に見られるようになり、将来重大な環境問題として出現することが高い確度で予測されている。このような状況の下で、世界において二度と水俣病を引き起こさないようにするためには、環境の水銀汚染を適切にかつ経済的に浄化する技術の開発と活用が必要とされている。 平成21年度においては、水銀で汚染された台湾台南市安順地区工場跡地から採集した土壌試料を用いて、水銀耐性細菌が保有すると考えられる水銀耐性遺伝子のうち、水銀イオン還元酵素遺伝子であるmerA遺伝子群の解析を行った。その結果、merA遺伝子には多様性があることが明らかになったとともに、その多様性は水銀汚染濃度が高いほど大きいことが明らかになった。また、水銀汚染経歴のある水俣湾海底砂サンプルから分離した細菌がトランスポゾン上に持つ有機水銀分解遺伝子のmerB遺伝子と、他の地域で分離された細菌がトランスポゾンおよびプラスミド上に持つmerB遺伝子の各種有機水銀に対する分解活性の違いを調べた。その結果、各細菌が持っているmerB遺伝子は有機水銀分子種ごとに異なる分解活性を示すなどの特異性があることが明らかになった。 遺伝子転移媒体としてのトランスポゾン等については、保存水俣湾底泥試料について調べたが、水銀耐性オペロンを持つ複数のタイプのトランスポゾンの存在が確認され、それらトランスポゾンを介しての自然環境において遺伝子が伝播されている可能性が示唆された。
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