2009 Fiscal Year Annual Research Report
セリア担持酸化ルテニウム触媒を活用する環境調和型高度分子変換プロセスの開発
Project/Area Number |
21651039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 正志 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (30151624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健司 京都大学, 工学研究科, 講師 (10243049)
細川 三郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (90456806)
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Keywords | 触媒反応 / 環境調和型プロセス / ルテニウム / 不均一系触媒 / C-H結合活性化 / セリア / ベンジルアルコール酸化反応 / C-C結合形成反応 |
Research Abstract |
より環境負荷の小さな有機合成プロセスの開発と、こうしたプロセスを可能にする新触媒の開発は重要な課題である。中でも不活性炭素-水素結合活性化を伴う分子変換反応は、有機合成化学における最重要課題として興味を集めているが、こうした反応については、均一系金属錯体触媒の使用が不可欠と信じられていたというのが実情である。本研究では、均一系金属錯体触媒を用いなければ達成し得なかった不活性炭素-水素結合活性化を伴う分子変換反応を対象として、錯体触媒が本質的に抱える環境上・実用上の制約を一気に解消できる、セリア担持酸化ルテニウム触媒を活用する環境調和型プロセスを構築する。 本年度は、アルケンへの芳香族C-H結合のビニルシラン類への付加反応に対して、均一系Ru錯体触媒を凌駕する高活性を示す固体酸化物触媒であるRu/CeO_2およびRu/ZrO_2触媒を開発した。本触媒による反応は無溶媒条件下でも円滑に進行し、均一系触媒では到達困難な800以上の高ターンオーバー数を達成した。本反応には酸化セリウムあるいは酸化ジルコニウム担持触媒が特異的に有効であり、MgO、SiO_2、TiO_2、Al_2O_3等を担体として調製した触媒では全く反応は進行しなかった。固体触媒からのルテニウムの溶出はほとんど無く、本反応は優れた環境対応性能を有していることが示された。 一方、さらに高活性を有する触媒開発のためには、適切な細孔構造を有する高比表面積セリアの調製が不可欠である。そこで、ソルボサーマル法で調製したセリアナノ粒子を種々の沈殿剤で処理して、メソ孔に加えてマクロ孔を豊富に有するセリアを合成した。さらに、本手法で合成したセリアを担体とすることで、ベンジルアルコールの空気酸化反応に対して通常の沈殿法で調製した触媒を上回る高活性を有するRu/CeO_2触媒を開発した。
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Research Products
(7 results)