2010 Fiscal Year Annual Research Report
セリア担持酸化ルテニウム触媒を活用する環境調和型高度分子変換プロセスの開発
Project/Area Number |
21651039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 正志 京都大学, 工学研究科, 教授 (30151624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健司 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10243049)
細川 三郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (90456806)
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Keywords | 触媒反応 / 環境調和型プロセス / ルテニウム / 不均一系触媒 / C-H結合活性化 / セリア / ホウ素化 / パラジウム |
Research Abstract |
より環境負荷の小さな有機合成プロセスの開発と、こうしたプロセスを可能にする新触媒の開発は重要な課題である。中でも不活性炭素-水素結合活性化を伴う分子変換反応は、有機合成化学における最重要課題として興味を集めているが、こうした反応については、均一系金属錯体触媒の使用が不可欠と信じられていたというのが実情である。本研究では、均一系金属錯体触媒を用いなければ達成し得なかった不活性炭素-水素結合活性化を伴う分子変換反応を対象として、錯体触媒が本質的に抱える環境上・実用上の制約を一気に解消できる、セリア担持酸化ルテニウム触媒を活用する環境調和型プロセスを構築する。 本年度は、芳香族炭素-水素結合の直接アリール化およびアルキル化反応に対する、触媒の前処理の効果を検討した。水素雰囲気下で少量のトリフェニルボスフィンとともにセリア担持酸化ルテニウム触媒を100℃程度で20分~60分間加熱したところ、これらの反応に対する活性が飛躍的に向上した。例えば、前処理なしでは反応温度170℃で24時間を要したプロモベンゼンによるベンゾ[h]キノリンの直接アリール反応が、反応温度120℃で90分以内に完結した。FTIR等による触媒の分析結果から、酸化セリウム上に歪んだ配位構造を有するRu=O種が特異的に生成し、これが前処理段階で還元されて触媒活性種が発生していると推察される。 さらに、メシチレン等のSP^3 C-H結合の活性化を伴うホウ素化反応に有効な触媒の探索を行ったところ、酸化チタン担持パラジウム触媒が特に高い活性を示すことを見出した。特に、40℃といった室温に近い反応温度でもメシチレンとビスピナコラートジボロン間の反応が円滑に進行し、ベンジル位がホウ素化された生成物が中程度の収率で得られた。
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Research Products
(6 results)