2011 Fiscal Year Annual Research Report
微生物機能を利用した廃水からの金属回収とそれを用いた金属ナノ粒子の合成
Project/Area Number |
21651040
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
惣田 訓 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30322176)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池 道彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40222856)
|
Keywords | 微生物 / 金属ナノ粒子 / セレン化カドミウム |
Research Abstract |
昨年度は、亜セレン酸およびカドミウムをそれぞれ1mM含有する培地で両者が50-70%ほど同時に減少し、培養液がCdSe粒子と類似した特有の赤茶色に呈色する微生物集積培養系を構築した。本年度は、この集積系からセレン化カドミウムを合成する微生物の単離を試みたところ、Pseudomonas aeuginosaRB-R株を取得することに成功した。カドミウムを添加したB-R株の亜セレン酸の還元試験では、生成されたセレン化物の液相中の濃度の減少に伴って水溶性カドミウムが除去された。培養96時間後には、初期添加量の約5割が固相セレンとして検出された。亜セレン酸とカドミウムの添加濃度を変化させたところ、液相からの除去量で計算した固形物中のSe/Cd比は、1.0~1.33であり、元素態セレンは少なく、純度の高いセレン化カドミウムが合成されていることが確認された。また、透過型電子顕微鏡により、RB-R株の菌体内もしくはその表面にセレン化カドミウム粒子が存在していることが観察された。エネルギー分散型X線分析の結果、微生物細胞全体のSe/Cd比は1.17であり、微粒子のSe/Cd比は1.24であったことから、セレン化カドミウムに加えて、少量の元素態セレンが混在していることが示唆された。また、溶菌処理を施した生成粒子の粒度分布を動的光散乱分析によって測定した結果、粒径が約200nmであり、粒子が凝集していることが示唆された。透過型電子顕微鏡によると、結晶構造に特有の縞模様が観察された。アミノ基やカルボキシル基など極性の高い官能基を持つ有機分子でナノ粒子を修飾すれば、合成されたセレン化カドミウム粒子を高輝度の材料として利用できると考えられる。
|
Research Products
(1 results)