2010 Fiscal Year Annual Research Report
回収ポリエチレンを原料とした易リサイクル性・自己修復性樹脂の開発
Project/Area Number |
21651041
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 邦生 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (40274013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 慎一 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (40397873)
内田 哲也 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (90284083)
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Keywords | テレケリックポリエチレン / リサイクル性 / 熱可逆性 / 単結晶 / 硝酸酸化 / マレイミド / ナイロン / 循環型社会 |
Research Abstract |
ポリエチレン(PE)に代表される汎用プラスチックは石油を原料としており、石油資源の枯渇化ならびに資源循環型社会構築への対応としてリサイクル性の付与が希求されている。しかし、PEはケミカルリサイクル性を有しておらず、PEを原料とて利用することが困難である。本研究では、回収したPEのリサイクル性の向上を目的として、長鎖PEセグメント化ナイロンの調製を検討した。 PEをキシレン希薄溶液中、85-70℃で結晶化し単結晶を調製した。調製した単結晶を発煙硝酸処理により、結晶の折りたたみ鎖部位を選択的に酸化切断して末端にカルボキシル基を有するテレケリックPE(PEC)を調製した。カルボキシル基/ニトロ基の比率の最も高い条件で酸化処理を行なった。PECを五塩化リンで処理し末端を酸塩化物で封鎖したテレケリックPE(PECC)を調製した。ヘキサメチレンジアミンとPECCを反応させ、PE由来の長鎖ナイロンを調製した。 PEの単結晶を調製する際の等温結晶化温度を種々変えることで、厚みの異なる4種類の単結晶を調製し、それらを硝酸酸化させることで、炭素数が56、58、65、ならびに70と分子鎖長の異なるテレケリックPEを得た。PEでは吸水がほとんど認められなかったのに対して、長鎖ナイロンでは、いずれも約1~2%の吸水率であり、アミド結合の特徴が現れた。このことより長鎖ナイロンも親水性であること分かった。次に結晶化の条件を揃えて処理したナイロンの結晶性を評価した。全てのサンプルが結晶性を示し、ポリエチレンの斜方晶に特有な二つのピークと同じ面間隔のピークが見られた。示差走査型熱量計測定では、反応前のPECでは融解時にシングルの吸熱ピークが観察されたが、長鎖ナイロンでは複数の吸熱ピークが観察された。これは二重融解挙動であると考えられる。PEセグメントの鎖長の変化に伴う融点の大きな変化は観察されなかった。以上より、結晶化と選択的硝酸酸化を利用することによって、PEとナイロンの特徴を併せ持った材料を調製することができた。
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Research Products
(1 results)