2010 Fiscal Year Annual Research Report
非翻訳性RNAの核内発現ドメインとモノアレル遺伝子発現調節機構に関する研究
Project/Area Number |
21651084
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
阿部 訓也 独立行政法人理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発チーム, チームリーダー (40240915)
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Keywords | 非翻訳性RNA / ゲノム刷込み / X染色体不活性化 / 片アレル性発現 / エピジェネティクス / ES細胞 / EG細胞 / 始原生殖細胞 |
Research Abstract |
非翻訳性RNA (ncRNA)には様々なタイプが知られているが、その作用機構が詳しく調べられているマイクロRNA等に比べ、cisに働いて近傍の遺伝子の発現を抑制する比較的大きなサイズのncRNA (Large-ncRNA=L-ncRNA)の作用機序は殆ど未知である。L-ncRNAは、ゲノム刷り込みやX染色体不活性化等の片アレル発現の制御に関与すると考えられている。本研究では、L-ncRNAの細胞分化過程での発現様式や細胞核内での転写パターンの特徴を追究し、その知見を元にL-ncRNAによる遺伝子発現抑制の作用機序を解明することを目的とする。L-ncRNAは、遺伝子座の両DNA鎖から転写されることが多いが、通常の発現解析手法では、それらを区別して検出することが困難であった。そこで、同一細胞で、strand-specificに転写産物を検出する技術の開発を行った。この手法を用いて、代表的なL-ncRNAであるXistとそのアンチセンスRNAであるTsixを識別して解析する技術の確立を行った。また、Igf2rとそのアンチセンスRNAであるAir、Kcnq1とKcnqlot1それぞれを識別することにも成功した。現在は、例えば、Xist-TsixとIgf2r-Airというように2種類のL-ncRNAとアンチセンスペアの解析を同時に行う手法の確立しており、ES細胞の分化過程や実際の胚発生過程における発現様式の解析を進めてきた。 ES細胞の未分化状態では、大部分のインプリント遺伝子は両アレルからの発現を示すことが明らかとなったが、分化の進行に伴い片側アレルからの発現に推移することが明らかとなり、分化過程で発現制御様式の転換が生じることが示唆された。それに対して、始原生殖細胞(PGC)から樹立される多能性幹細胞であるEG細胞では、分化しても両アレルからの発現が起きており、ESとEG細胞はよく似通った細胞形質を持つが,インプリンティングに関するエピジェネティック制御に決定的な違いがあることが確認された。
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Research Products
(12 results)