2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21651099
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
橋本 貴美子 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (90286641)
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Keywords | 腹菌類 / ニセショウロ属 / 分類 / 毒性 |
Research Abstract |
ニセショウロ属のきのこの分布や発生時期等を調べた。発生は雨の量に影響されるようで、だいたい梅雨の時期から発生が始まる。雨の少ない夏期には姿を消してしまうが、苔など植物の多い場所で水分のある所では少量発生しているようである。短期間しか発生しないような種と長期に渡って発生する種があり、長期のものは12月になっても発生が見られた。 発生場所については、植生などの環境の異なるいくつかの地点で、発生を確認できたが、特に小型種は、種を形態のみで分類することが難しいことがわかった。このため、今後はこれらのきのこを発生場所別にDNAを調べることが必要である。 昨年松林で発生を確認したツチグリカタカワタケは、カシの木の周辺でも発生することがわかったが、大きさがかなり異なっていた(松林のものはかなりの大型である)。この差が宿主植物の種の違いによるものかどうかを調べるためには、もう少し調査が必要である。このきのこは毒とされているため、マウスに対する毒性を調べた。メタノール抽出物の経口投与では毒性はほとんどないように見えたのに対し、腹腔内投与では投与後1時間程度は運動量が少なくなるが、後に回復した。このため、この種は弱毒成分を含んでいるのではないかと考えられる。中型のきのこを作るタマネギモドキも毒きのことされているため、マウスに対してメタノール抽出物を経口投与してみたところ、投与後運動量が減ったものの、これも1時間程度で回復した。これも弱毒成分を含んでいるのではないかと推定される。これらと比較をするために、腹菌類の一種で別の属(アカダマタケ属)のきのこであるセトウチアカダマタケをメタノール抽出物を経口投与してみたが、運動量に変化は見られなかった。 ニセショウロ属のきのこによる中毒症状には、中枢神経系に作用しているような事例も報告されているため、今回形態での分類が困難であった小型の種については、DNAを調べた上で分類を行い、毒性を調べる必要がある。
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Research Products
(2 results)