2010 Fiscal Year Annual Research Report
固有種個体群の保全のための戦略的基礎研究、ルリカケスにおける挑戦
Project/Area Number |
21651100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90192484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 浩一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00339285)
西海 功 国立科学博物館, 動物研究部, 研究員 (90290866)
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Keywords | 個体群保全戦略 / 固有種 / フラグシップ種 / 野生集団病理学 / 保全遺伝学 / ルリカケス / 感染症 / 遺伝構造 |
Research Abstract |
奄美大島の固有種で、ヘルパーのいる共同繁殖をすることが知られているルリカケス(Garrulus lidthi)の繁殖生態、音声コミュニケーション、病理学的特性(現状)および分布域全体における遺伝構造を明らかにするための、現地調査と試料分析を実施してきた。生態学、病理学および遺伝学的手法を合わせて、固有種個体群の生息を保証する条件を総合的に考察しようとしている。ルリカケスをかすう網で捕獲あるいは巣において雛を手捕りし、標識、外部計測、撮影と血液、外部寄生者試料の採取を行った。本種は、その行動特性から体系的に捕獲することが困難で、捕獲技術の向上にも努めている。26個の巣箱を設置し、自動定期撮影カメラ、録音機等を応用して繁殖生態を記録した。その結果、気象およびシイ堅果(ドングリ)の結実変動によって繁殖成績が変動すること、種内卵破壊等の個体間競争がある条件下で頻繁に発生すること、捕食圧の変化などが把握された。血液試料の塗抹試料とDNA分析により、ルリカケスの一部の成鳥から鳥マラリァが検出された。巣内雛からはまだ検出されていない。雛に寄生していたダニの塩基配列から、トリサシダニ属と判明した。鳥マラリアについては、今後、感染経路、感染時期の特定に努める。遺伝構造解明のため、近縁種の情報を参照し、ルリカケスに応用できるマイクロサテライトマーカーの多型解析の検定を進め、現時点で12遺伝子座で計9個の多型が見つかり、さらに他の16遺伝子座で多型の検出を進めている。
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