2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアのカント哲学及び平和論の現代的意義の国際的共同研究
Project/Area Number |
21652003
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
牧野 英二 法政大学, 文学部, 教授 (70165679)
|
Keywords | 東アジア / カントの平和論 / カントの国際的共同研究 / 批判哲学のアジアでの受容史 |
Research Abstract |
本研究の主要な目的は、日本、韓国、中国、台湾等におけるイマヌエル・カントの平和論を中心にしたカント哲学の現状と課題及び現代的意義の解明と、東アジア、漢字文化圏における平和論の共同研究のネットワークの構築にある。本年度は、3年間の研究計画の2年目なので、初年度の主要課題であった関連資料の文献収集や文献リストの作成という作業の継続とともに、その分析・研究の成果を公表する場として国際的共同研究の機会を積極的に活用した。 その具体的成果としては、まず、5年に1回開催されるカント研究者の世界大会である国際カント学会(イタリア・ピサ市)に、アジア地区から唯一の招待講演者として東アジアにおけるカント哲学の重要性、特に平和論の今日的意義を中心にした全体会議での発表を行った。また、中国・山東大学で開催された国際会議でも、記念講演者として、近代以降の日本の哲学・思想と文学との関連から、アジアにおけるカントの受容史にも考慮して、研究発表を行った。さらに、韓国では、韓国の独立運動家・安重根の平和思想である「東洋平和論」について、カントの平和論との比較考察や、当時の日本の思想家による安重根評価について、彼の遺墨に書き込まれた徳富蘆花のメモ等を手掛かりに、新たな資料に基づく、研究成果の公表を行った。以上のように国際的共同研究の予想以上の成果の公表・討議のゆえに、海外出張の支出が増加したことを付言しておく。
|