2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21652004
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関口 順 Saitama University, 教養学部, 教授 (10107518)
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Keywords | 会典 / 大祀 / 中祀 / 小祀 / 礼 / 祭祀 |
Research Abstract |
21年度の研究実施計画にもとづいて研究を進め、会典の中では最新で最も整備されていると見られる『光緒会典』を利用し、国家祭祀の実態の解明に努めた。『欽定大清会典』巻35~38「祠祭清吏使」の条には祭祀についての記述がある。そこでは意義についての議論は見当たらないが、どのような対象をいかに祭るかが、詳細に述べられている。天神・地祇・人鬼を、国家の最高位たる皇帝を先頭に官僚たちがそれぞれ責任を持って祭る体制ができており、それが礼制として重要な位置づけを持ち、かつ長い歴史を有していることが確認された。 実情の記載はあってもその意義を説く議論が見当たらないので、「典礼問題」に着目し、陳垣『康煕与羅馬使節関係文書』矢沢利彦「康煕帝と典礼問題」等を使って、カトリックとそれら国家祭祀の関係について追究してみた。しかし、「典礼問題」とは理論上の論争というより世俗的勢力争いの性格が強いことが分かっただけで、この研究にはあまり益がなかった。 しかし、その「典礼問題」でヒントが得られたので、次は1945年のGHQによる「神道指令」を手懸かりにし考察を進めることにした。「神道指令」とは、戦争をもたらした原因を除去する作業のひとつで、国家と結びついた神道を政教分離の原則の下、国家から引き剥がし、純乎たる「宗教」として存続せしめること意図した指示書である。いわゆる「国体」は、神社とくに由緒ある格の高い神社を国家の祭祀を行うものと規定し、神道を宗教とは別物としていた。しかし、それを「礼」と認定していた訳でもない。 22年度は、引き続き神道の在り方を考察し、「礼」を研究する手懸かりとしたい。
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Research Products
(1 results)