2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・ジャポニスム期のフランスにおける日本美術受容の研究
Project/Area Number |
21652007
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤原 貞朗 茨城大学, 人文学部, 准教授 (50324728)
|
Keywords | ポスト・ジャポニスム / ジャポニスム / 浮世絵版画展覧会 / カリエス派 / 日本美術研究 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の研究成果を踏まえ、20世紀初頭のジャポニスム以後のフランスにおいて、日本美術研究、とりわけ浮世絵版画と陶磁器の研究状況の進展、および、フランスの美術工芸分野への影響を明らかにするため、国内および国外での資料調査と収集を行い、その後、資料分析に当たった。 まず、明らかにすることができたのは、1910年代前半期と1920年代後半期において、英仏独において、めざましい浮世絵研究の発展があったことである。当該時期における展覧会の履歴と展覧会評に関する資料を網羅的に収集し、その資料を分析することによって、19世紀末のジャポニスム時代とは異なる、20世紀の新たな美学のもとに、浮世絵があらためて研究され、再解釈されてことを明らかすることができた。 次いで、もうひとつの研究課題のフランス陶芸における日本の影響に関しては、昨年度に行った20世紀初頭のフランスの陶芸家に関する資料収集を継続するとともに、収集資料の分析に当たった。分析によって、フランスの陶芸家が、日本から輸出された主に江戸期の陶磁器や日本で作成された文献をもとに、どのようなプロセスで陶芸を行なったかを、かなり具体的に明らかにすることができた。さらに、サン・タマン・ピュイゼイで作陶していた、いわゆるカリエス派の陶芸に関する資料の調査と収集を継続し、現存する作品における日本の影響を類型化することができた。今後は、さらに資料収集の幅を広げ、類型化の分析結果をもとに、20世紀前半期における日本工芸の全貌を明らかにしたい。
|
Research Products
(2 results)