2009 Fiscal Year Annual Research Report
江戸期の高野山天野社舞楽曼荼羅供と南山進流声明の復元的研究
Project/Area Number |
21652013
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
遠藤 徹 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 准教授 (10313280)
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Keywords | 舞楽 / 曼荼羅供 / 南山進流 / 声明 / 丹生都比売神社 / 高野山 / 遷宮 |
Research Abstract |
平成21年度は、高野山の南山進流声明の伝承の実態の調査と江戸期の南山進流声明および天野社舞楽曼荼羅供に関する資料収集を行った。実地調査は11月と1月に行い、11月の調査では、善通寺伝来の「天野舞楽曼荼羅供宝永之記」に基づいて再構成した江戸期の天野社舞楽曼荼羅供の式次第に、現在の南山進流声明および雅楽を重ね合わせた際に生じる問題点を、高野山の南山進流声明の伝承者数名および高野山真言宗の雅楽関係者とともに検討した。共奏する際の音律の合わせ方、曲の長さの相違への対処など、実際的な課題が浮き彫りとなった。1月の調査では、高野山の主要な法会の一である金堂修正会の現状調査を行った。金堂修正会は、南山進流の基本的な声明曲を多く含んでおり、現行の南山進流声明の実態を把握する上で有益なものであった。また、1月には、高野山東京別院伝来の四枚の古絵図の中から、高野山の壇上図等の調査撮影を行った。東京別院伝来の古絵図は、昭和四十年代以降倉庫に納められているが、平成19年度の筆者等の調査で現状が明らかになったものである。壇上図には輿に乗った導師、肩車された二人の稚児、僧侶の行列などが描かれており、これらは『紀伊続風土記』の記載等と照合させると江戸中期の金堂修正会を描いたものと考えられる。この絵図の分析と現在の金堂修正会との比較検討などが今後の課題の一となる。なお、12月には韓国ソウル市で行われた東亜細亜仏教音楽学国際学術大会に参加し、天野社舞楽曼荼羅供に関する報告を行った。
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Research Products
(1 results)