2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21652018
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
塚田 健一 Hiroshima City University, 国際学部, 教授 (00227365)
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Keywords | アフリカ / 江戸時代 / 黒坊 / 音楽文化 / 文化交流史 / 出島 |
Research Abstract |
本研究は、近世に日本人とアフリカ人(黒坊)との間で行われた音楽文化交流の状況を歴史上の主だった出来事を跡付けることによって明らかにしようとする。平成21年度の調査は、以下の三点に焦点を絞った。 1. 16世紀末に多数のアフリカ黒人が土佐に上陸するきっかけとなったスペイン船「サン・フェリーペ号」の漂着事件に関して、高知市立図書館等で『元親記』その他多くの古文書の収集・調査を行った。 2. 天正遣欧少年使節が帰路にモザンビークに半年間滞在した際の彼らとアフリカ人との接触の状況に関して、ザンデ著『天正年間遣欧少年使節見聞対話録』等を収集・調査した。 3. 長崎出島のオランダ商人の従者として来日した黒坊の生活の様子に関して、数次にわたり長崎へ出向き、出島資料館で関係図書と絵図の収集に当たるとともに、長崎歴史文化博物館資料室で、膨大な『長崎奉行所判決記録・犯科帳』の調査を行った。 結論的には、古文書と当時の絵図において日本人と黒坊との音楽文化交流を裏付けるいくつかの重要な資料を見出したものの、黒人に関する歴史的な記録、とくに彼らの音楽行動にかかわる資料の収集は困難を極める。来年度はさらに古文書を詳細に調査するとともに、出島の資料に関してはオランダ商人の残した記録の原著にあたる必要があることを痛感した。したがって、来年度はオランダでも資料を収集するとともに、博物館等で海外に流出した出島関連絵図の調査も行う予定である。
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Research Products
(1 results)