2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代ヨーロッパ文学における痛みと共同性の総合的研究
Project/Area Number |
21652027
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
対馬 美千子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (90312785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 真理子 青山学院大学, 経済学部, 教授 (50190228)
田尻 芳樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20251746)
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Keywords | 痛み |
Research Abstract |
23年度は、3年間の研究活動を通して得られた成果を全体としてまとめあげる作業を中心に行った。本研究において、現代ヨーロッパ文学における痛みの表象がどのように〈共同性〉の構築に関わるかについて総合的視点から考察してきた。3年間の研究活動を通して日本を拠点とした世界的な研究ネットワークが築くことができたが、23年度は、その研究成果を、日本を発信地とする英語の論文集として出版するための作業を行った。論文集は、Samuel Beckett and Painというタイトルで、Rodopi社からまもなく刊行される。編集作業においては、各執筆者間で異なる表記の統一、出版社の要求に合わせた変更、索引の作成などを3人で協力し、精力的に行った。また、3人とも編集作業の過程で自分の論文を読み返し、必要なところに加筆修正を行った。また、ベケットと痛みの関係について、論文集に掲載される共同研究者の論文から多くの示唆を受け、それをもとにさらなる研究を続けた。堀はとくに戦中戦後のベケット自身の痛みの経験がどのように作品に反映されているか、伝記的な要素と時代的な思潮とをからめて作品を論じ、論文を執筆した。また、ベケットとの関連で別役実等の戯曲を論じた論文、"The Transformation of Kafka in Contemporary Japanese Theater"を発表した。対馬は、これまで続けてきたベケットと言語経験のもたらす苦痛についての研究を発展させ、ベケット作品における言語と音楽の関係について考察し、その成果を、International Federation for Theatre Research年次大会で発表した。
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Research Products
(2 results)