2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21652032
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
恒川 邦夫 Hitotsubashi University, 名誉教授 (60114956)
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Keywords | 中国文学 / 朝鮮文学 / フランス文学 / フランス語教育 / 東北アジアにおける西欧受容 / 異文化交流 |
Research Abstract |
平成21年度は以下の現地調査を行った。 (1)平成21年9月4日より18日までの二週間、北京と天津にある五つの大学(北京大学、北京外国語大学、北京語言大学、首都師範大学、天津外国語大学)の仏文科を歴訪し、研究計画に掲げた目的に沿って、仏文科の主任および担当教員と面談し、大学によっては授業参観も含めて、意見交換・資料収集にあたった。 意見交換の結果、判明したことは、中国における外国語教育は聞き・話す能力の開発に特化させた実用語学としての側面に力を入れていること。したがって、教員の中には、文学や文化の側面の教育の不足、教員自身の研究への配慮の不足などに不満があることを述べる者もいた。北京大学の外国語部局の教員や中国社会科学院の研究者でもないかぎり、文学研究に深く根ざした教育・研究は等閑視されているという。 しかし、その教育方針によって育った学生たちは、日本の学部生一般と比べて、かなり高い実践的な運用能力を持っていることが、授業参観や大学院生たちとのフリーなディスカッションを通して分かった。 (2)平成22年3月23日より31日までの一週間、ソウルにある三つの大学(成均館大学、慶煕大学、淑明女子大学)の仏文科を訪れて、教員たちと面談、授業参観などを通じて、情報交換した。韓国における外国語教育も実践語学としての側面が重視されているが、中国ほど極端ではないように見受けられた。カルチャラル・スタディーズなどを通して、一部の教員・研究者は、日本との学術交流の経験も持っていることも分かった。また、大学に外国人教師として席のある母語話者であるフランス人と組んで、韓国の作家を仏訳して紹介したり、フランスの劇を韓国語に翻訳して、上演したりしている教員にも会うことができた。英語、日本語についで、フランス語は第三番目の勢力を持っているようで、韓国の大学のおよそ半数で仏語を教えているところも、日本の大学と共通しているように思われる。
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