2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会参加としての在日朝鮮人文学-磯貝治良とその文学サークルの活動を通して
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21652035
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浮葉 正親 名古屋大学, 留学生センター, 准教授 (40252291)
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Keywords | 文学論 / 各国文学 / 在日朝鮮人 / 在日朝鮮人文学 / 文学サークル / 磯貝治良 / 在日朝鮮人作家を読む会 / 『架橋』 |
Research Abstract |
本研究は、作家・磯貝治良(74)の作品や評論および彼が主宰する文学サークル「在日朝鮮人作家を読む会」(以下、「読む会」)の30年以上にわたる活動を可能な限り記録し、それらを電子化して保存・公開することを目的としている。本年度は、昨年度に引き続き、1960年代から70年代にかけて磯貝が同人誌『北斗』や『東海文学』に発表した小説や評論を電子化した。「読む会」のブログ(http://yomukai.blog11.fc2.com/)に順次掲載する予定である。電子化したのは、「艦隊が攻めてくる」「奇妙な男」「王国へ」(以上、『北斗』1959年~1965年)、「面を脱ぐ」「民話」「ナンセンスプロダクション始末記」「犯行の論理」(以上、『東海文学』1967年~1974年)という7編の小説および評論「現代文学はいかにして可能か」(『北斗』1964年)「私の花田清輝読み」(『幻野』1975年)、「読む会」の機関誌『架橋』第16号(1996年)を電子化した。その結果、磯貝の初期作品や「読む会」の活動をさらに多くの人が知ることが可能になった。また、昨年度の研究で磯貝の小説には1960年代前半の初期作品からすでに周辺人物に在日朝鮮人が描かれていることが分かったが、本年度の研究では、70年代に入るといくつかの作品の主人公に在日朝鮮人が登場し、その造形にも深みが増していることが分かった。なお、本研究代表者である浮葉正親は、2010年8月、『韓日語文論集』第14輯、145-168頁、(韓日日語日文学会、韓国)に「<在日>文学との出会い-磯貝治良の<在日>文学論とその文学」を発表し、磯貝の提唱する<在日>文学論の特徴を川村湊の在日朝鮮人文学論と比較することで明らかにし、磯貝の50年にわたる文学活動の概略を紹介するとともに、初期作品に登場する朝鮮人の描き方について具体的に論じた。
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Research Products
(2 results)