2009 Fiscal Year Annual Research Report
時代の影響を取り入れてポライトネスの変容をとらえる言語行動理論構築の試み
Project/Area Number |
21652039
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
太田 一郎 Kagoshima University, 法文学部, 教授 (60203783)
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Keywords | 言語行動 / ポライトネス / 社会言語学 / インターネット掲示板 / メディアとことば / 電子コミュニケーション / 通時的視点 / 文化批評 |
Research Abstract |
本研究の目的は,80年代以降急速に変容した日本社会のコミュニケーション行動の変化を事例として,人間の普遍的行動理論として注目を集めてきたBrown & Levinson(1987)のポライトネス理論に「社会の変化」の影響を取り入れた新しい研究法を開発し,「通時的」視点を加えた対人コミュニケーション理論の試案を提示することにある。この目的のため,21年度は以下の内容を遂行することを当初の計画としていた。 (1)調査内容の策定:「2ちゃんねる」の過去ログの「部を入手,分析し,語彙,統語,談話展開等の言語的側面の相互行為を中心に調査項目,内容を検討。(2)予備調査の実施と調査内容・方法の決定。(3)本調査開始(過去ログデータの収集)。(4)データの形態素,統語解析とデータベース作成。(5)情報収集:調査.分析の方法論,電子化データベース作成の手法等に関する情報収集。(6)成果発表:研究会等で初年度の成果発表。 しかしながら,まず予備調査の段階でデータをいかに入手するかで問題が生じた。「2ちゃんねる」におけるポライトネスの変容を明らかにするためには、まず2ちゃんねるの初期から続いている「板」を探し、活発に投稿がされている「スレ」を特定する必要があった。調査開始当初長期間続く板,スレを中心に調べたが,長期間存在するものでも開始時期が遅い,投稿が活発でないなどの問題があることがわかった。その中で,多くの板に多数存在し、レスがつくのは質問系のスレであることが判明した。この種の板,スレは投稿のやりとりの中でのポライトネスの変容が観察しやすい。以上のことから、2ちゃんねるにおけるポライトネスの変容を観察には、質問系スレッドが最適であると判断し,これらの板を中心に次年度の研究対象とすることを決めた。
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