2010 Fiscal Year Annual Research Report
急速なグローバリゼーションによる地域方言の変容と話者心理に関する社会言語学的研究
Project/Area Number |
21652040
|
Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
高野 照司 北星学園大学, 文学部, 教授 (00285503)
|
Keywords | 言語変化 / 社会言語学 / 社会心理 / アイデンティティー / グローバル化 / 言語イデオロギー / 方言学 / 言語変異理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、急激なグローバル化が進行するニセコ地区(北海道後志管内倶知安町・ニセコ町)における地域方言の変容の様相について、従来の計量的分析にエスノグラフィー的方法論(質的分析)を導入し、グローバル化がもたらす生活変化に対する住民の意識や態度の把握を重要軸としながら、言語変化研究の重要テーマである「変化の社会的動因」を明らかにすることにある。 調査二年目に当たる本年度は、以下の4点に重きを置き調査活動を行ったが、おおむね年度当初の計画どおりに調査を遂行することができた。 1. ニセコ地区方言に関する音声・語彙・文法調査(初年度より継続) 様々な年齢層にわたり合計21名のニセコ地区生え拔き住民を被験者として面接調査を行い、収集した音声資料をデータベース化した。また、それぞれの被験者から語彙・文法アンケート調査も回収した。最終年度はさらに規模を拡張し、年代・性別・居住地・社会生活等の面からバランスのとれた資料を得る計画を立てる。 2. ニセコ地区におけるネットワーク作り(初年度より継続) 倶知安町およびニセコ町、それぞれの調査地において、調査協力者との仲介役を担ってもらえる公的機関(公民館、体育館、学校、教育委員会、商工会議所など)および特定の地域住民(NPO団体関連、地域ボランティア参加者など)からのサポートを受けることができ、調査は順調に進んだ。最終年度もこれを継続し、調査協力者との単発の接触に終わる調査ではなく、可能な限りで各人の日常生活に密着した調査をしていく予定である。 3.質的分析ソフトウェアを用いた話者要因の分析 面接調査による録音資料を基に、各被験者のアイデンティティや言語イデオロギーなどを含めた社会心理についての系統的分析を開始した。その際にMaxQDAソフトを活用し、分析作業に入るためのデータベースを作成した。 4. 学会発表に向けての予備分析の開始 2011年8月カナダ・トロント市(西オンタリオ大学)で行われる国際学会(Methods in Dialectology,第18回研究大会)での発表に向け、音声・語彙・文法項目の分析を開始した。
|