2011 Fiscal Year Annual Research Report
急速なグローバリゼーションによる地域方言の変容と話者心理に関する社会言語学的研究
Project/Area Number |
21652040
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
高野 照司 北星学園大学, 文学部, 教授 (00285503)
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Keywords | グローバル化 / 言語変化 / アイデンティティ / 社会言語学 / 地域方言 / 方言意識 / 言語イデオロギー / 音声変異 |
Research Abstract |
研究計画の最終年度となる今年度は、研究の総括を行うことを目的とした。具体的には、 1.分析資料の不足分を収集するためのフィールドワークの継続:ニセコ町・倶知安町における言語資料(語彙・文法アンケート調査、個々の住民の社会生活に関する情報や自然談話音声の収集を兼ねたインタビュー)の収集を行った。特に、不足していた30代以下の話者数名から言語資料を収集。さらには、5名程度の住民から調査協力の承諾を得ているため、今後も収集を継続して行う予定である。 2.ニセコ地区方言の変容を見極めるための言語変項の決定と収集済み言語資料の分析:これまで収集した生え抜き住民23名の言語資料(語彙・文法に関するアンケート調査、およびインタビュー音声)の予備分析を行い、分析結果を論考として発表した(下記4参照)。論考では特に、語彙・文法アンケート調査による方言使用意識の様相とグローバル化に対する話者の態度やイデオロギーとの相関変異に焦点を当て論じた。また、二つの分節音(語頭ではない「カ行子音」と「タ行子音」の有声化)の変異に着目し、小規模なケーススタディーではあるが、インタビュー内の自然談話における話題の特性と話者の土着アイデンティティの顕在化との規則的関係を明らかにした。 3.グローバル化に対する話者心理の質的分析:個々の話者とのインタビュー資料をすべて文字起こしし、住民一人一人のグローバル化に対するイデオロギーや土着意識の把握および類型化に役立てた。 4.分析成果の学会での口頭発表および論考の出版:学会での口頭発表は行わなかったが、研究成果のダイジェスト版を『日本語学11月臨時増刊号』で公表した。また、2012年夏に出版予定である『コミュニケーション能力の諸相:「共創能力」を考える』(片岡・池田編著、ひつじ書房)では研究成果の詳細を論じている。
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Research Products
(1 results)