2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21652042
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
西山 利正 関西医科大学, 医学部, 教授 (10192254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 伸介 関西医科大学, 医学部, 助教 (70454618)
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Keywords | 医療通訳 / 異文化コミュニケーション / 中国語 / 在日外国人 / 訪日外国人 |
Research Abstract |
わが国では人口の高齢化により将来的な労働力不足が懸念され、外国からの労働者雇用促進が国の政策として推進されている。法務省によるとわが国の外国人登録者数は200万人を突破(平成17年末)し、過去20年間で倍増している。在留外国人数の増加に伴い、健康問題が発生した際には医療機関を受診するケースも増加している。しかし、短期滞在者はもとより、長期滞在者であっても医療機関で取り交わされる医学的専門用語について理解するのは極めて困難であり、十分な医療サービスを受け取ることができない状況がある。医療スタッフとのコミュニケーションが十分にとれないために医療過誤や訴訟問題が生じる場合もあり、解決策を講じる必要性がある。現在の日本では医療通訳者はボランティアに依存する場合が多く、専門職として一般的に認識されておらず、従って専門職としての医療通訳を確立し、医学的専門知識を習得した医療通訳者の育成が重要と考える。在留外国人数は国籍別に見ると、中国、韓国・朝鮮の近隣3カ国で半数以上を占め、中でも中国の増加が著しく、本研究では中国語に着目した。今回、中国語医療通訳のスキル向上並びに普及啓発を目的とした教科書を作成し、日本における制度化された医療通訳システム構築を目指す。このような実態を踏まえた上で、シナリオを医学的知識のある医師、中国語通訳者による症状別に会話形式で日本語・中国語によるロールプレイを行い実際の診療に沿ったマニュアルを作成した。このマニュアルは、今後一般に公開し医療の現場においてコミュニケーションの補助としての一役を担い、日本における外国人の医療機関受診状況を改善できるような成果を得ることを期待する。
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