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2010 Fiscal Year Annual Research Report

北朝鮮における「領導芸術」に現れる修辞法の研究:大衆管理の言語手法の解明

Research Project

Project/Area Number 21652043
Research InstitutionKumamoto Gakuen University

Principal Investigator

筒井 久美子  熊本学園大学, 外国語学部, 准教授 (30352397)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 矢野 謙一  熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (00271453)
Keywords社会言語学 / クリティカル・ディスコース分析 / 金正日 / 教科書分析 / 修辞法
Research Abstract

平成21年度における研究では、小学1~4年の教科書を分析し、反復、説得、比較、非言語的描写、問答形式などの修辞法を抽出した。これらの修辞法は、北朝鮮の国家・国民における金正日の必要不可欠存在、北朝鮮国民が金正日に対し、また北朝鮮の人民として取るべき画一化された考え方や行動を確実に学習できるよう使用されていた。教科書には金正日が北朝鮮の最高指導者として君臨するに値する偉大な人物であるということが、幼いながらに発揮される彼の指導力や知的能力を描写したエピソードを通して確固たるものにされていた。また、北朝鮮国民としていかに考え行動すべきかについての模範的姿が金日成への忠誠心を表す金正日の言動を通して顕著に描かれており、学習者は教科書に描かれた金正日の言動を通してその人物像に触れると共に、首領父子のために人民は何をすべきか、いかに喜ばせられるかといった模範的人民像を学べるようになっていた。さらに、金正日が国家だけではなく国民一人ひとりを思いやる、大きな存在であることが、戦争孤児や傷痍軍人、貧困生活者などの社会的弱者に対する金正日の手厚い施しに関する記述を通して、彼が一般国民から遠い存在にあるのではなく、北朝鮮国民一人ひとりを常に気遣い、精神的に支えてくれる、国父に値する人物であるということをアピールしていた。この国父的存在の強調は、学習者が将来抱くかもしれない社会的な不平不満を幼少期から摘み取る役割を果たすと考えられる。
今年度も引き続き、中学校の教科書を分析し、上記のような修辞法が見られるのか、いかに読者に金正日の偉大さを説得し、金正日の言動を読者に自己投影させ首領父子を敬い忠実な国民になることを示唆し、金正日が社会的弱者を労わる守護神的人物であることを繰り返し説いているのかを検証する。現在、翻訳作業を進めているが、小学校の教科書に比べページ数も大幅に増えており、訳語の調整や修正に計画していたよりもはるかに多くの時間がかかり難航している。

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Published: 2012-07-19  

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