2011 Fiscal Year Annual Research Report
「役割語」の視点を導入した写生文・「写生」の日本語学的新研究
Project/Area Number |
21652044
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 栄作 愛媛大学, 教育学部, 教授 (80211275)
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Keywords | 日本語学 / 役割語 / 写生文 / 写生 |
Research Abstract |
平成23年度の「研究実施計画」には、(1)さまざまな「写生」概念の整理、(2)第5回「写生文研究会」の開催、(3)成果発表、成果報告、を挙げた。 (1)について、昨年度、第4回の研究会で講演していただいた関悦史氏(俳人、俳句評論家)に、一昨年入手した明治の写生文解説書『写生文作法及其文例』(寒川鼠骨)、『写生文範』(福田琴月)を読んでいただき、その他子規の著述などを合わせ、「写生」と写生文の概念の成立と、「役割語」との関係等について、お考えをまとめていただいた。 (2)の第5回「写生文研究会」は、(1)の関氏の文章の完成を待って、2月に開催した。「写生」についてのシンポジウムのかたちをとることにし、人選を、第2、4回の研究会で講演・助言いただいた青木亮人氏(近代文学研究、俳句研究)に依頼した。そして、竹中宏氏(俳人)の基調講演の後、青木氏の進行によるシンポジウムが実施できた。竹中氏のご都合もあって京都市で開催した。シンポジストは、関氏、岩城久治氏、中田剛氏。当初の計画よりも、俳句に重きを置いた内容となったが、関西在住の「写生」に興味・関心を持つ方39人の参加者があり、活発な討論・質疑応答が行われた。その内容は、web俳句誌「週刊俳句」にアップされ、俳句界からかなりの反響があった。 (3)については、研究会が2月になったため、それを含めての総括が十分にできず、年度内に論文にまとめることはできなかった。(1)の関氏の文章と、(2)の第5回の研究会の講演、討論を活字に起こしたものを「「役割語」の視点を導入した写生文・「写生」の日本語学的新研究」(1-49p)として冊子にまとめ、関係者・関係各所に配付した。
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