2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21652049
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
新井 高子 埼玉大学, 国際交流センター, 准教授 (30292650)
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Keywords | 日本語・日本事情 / 教授法 / 日本語詩歌 / 戦後詩歌 / アンケート調査 / 詩作ワークショップ / 留学生詩集 / クリエイティブ・ライティング |
Research Abstract |
本研究は、留学生を対象とした日本語・日本事情教育において、日本の詩歌を教え、学生に詩作を行ってもらうための教授法研究である。平成22年度は、第2次世界大戦後の日本語詩歌(詩、短歌、俳句)を留学生の眼で読み返した。日本語能力試験2級レベル相当を大よその基準として、そのレベル以上の学生が、教師の補助があれば理解が届き、かつ、文学史的に見ても価値ある作品を選抜し、プリント教材等を作成した。戦争直後の復興期から、多国籍の日本語詩人が活躍する現代までを俯瞰し、詩歌史の体系的概説にもなるよう努力した。 上記の研究を活かし、埼玉大学・後期教養教育「日本事情C」の授業(出席学生数・21名)において、視聴覚資料等も用いながら、選抜した作品の紹介・講読を行った。昨年度と同様、各授業の終わりには、理解度や関心度を尋ねる記号選択式アンケートや記述式の感想等を学生に執筆させた。学期末には、詩作ワークショップとして、日本語による実作を学生に課し、『留学生詩集2010』として冊子化した。なお、全15回の授業全体に対する総合アンケートも含め、データを電子化する入力作業も行った。そのアンケート結果に基づくならば、近代詩歌を扱った平成21年度よりやや評価は下がったものの、難解と評されることもある戦後詩歌を学ぶことに対し、留学生から概ね、積極的評価が得られた。詩作ワークショップに関しては、昨年度以上に熱心だった。文学と連動させながら、クリエイティブ・ライティング的要素を取り込む語学教育の可能性が開かれたと言える。 平成21年度に実施した授業とアンケート結果については、埼玉大学国際交流センター発行『国際交流センター紀要』第5号に、論文としてまとめた。『留学生詩集2009』については、さいたま市国際交流協会のニューズレター「Sai Net」第30号、及び詩情報のウェブサイト(http://www.mi-te-press.net/review/bn1006.htm)で紹介された。
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