2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21652049
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
新井 高子 埼玉大学, 国際交流センター, 准教授 (30292650)
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Keywords | 日本語・日本事情 / 教授法 / 日本語詩歌 / 詩作ワークショップ / 感想文 / アンケート調査 / 留学生詩集 / クリエイティブ・ライティング |
Research Abstract |
本研究は、留学生を対象とした日本語・日本事情において、日本語の詩歌を教え、学生に詩作を行ってもらうための教授法研究である。 最終年度である平成23年度は、21~22年度の教育研究・実践とその反省を踏まえつつ、詩歌やその批評を読み返し、教授法の再検討を行った。その上で、埼玉大学・後期の授業「日本の詩歌」「日本事情C」(出席学生数・22名)において、近代詩・現代詩の総合的な解説と講読を行った。これまでと同様、各授業の終わりには、理解度や関心度を尋ねる記号選択式アンケートや記述式の感想を学生に課した。学期末には、ワークショップとして日本語の詩を学生に実作させ、『留学生詩集2011』を刊行した。 また、22年度の授業で現代詩(第二次世界大戦後の日本詩歌)を扱った際の内容とアンケート結果について、『国際交流センター紀要』第6号に論文をまとめた。さらに、21~22年度の受講学生が執筆した、近代・現代の詩歌に関する感想の全文を編集し、『留学生による詩歌感想集』として書籍に包括した。 本研究は、内容や語法の難解さ等によってこれまで敬遠されることの多かった日本の詩歌を、日本語教育に積極的に取り入れるための方針、作品の選定基準、視聴覚資料を充実させた授業展開法などを検討・発案・実践した。アンケート結果を見ると、本研究よる知的好奇心の向上を積極的に評価する学生は、7割を超え、日本語教育の視野拡大に寄与し得たと言える。特に、日本語の新鮮な使い手として留学生をとらえ、創作活動を励ますワークショップは評価が高く、クリエイティブ・ライティングと語学教育の連関の重要性を提示した。なお、『留学生による詩歌感想集』は、外側から率直に日本文学をとらえた基礎資料としても貴重な成果となった。
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