2011 Fiscal Year Annual Research Report
魚霊供養からみる海洋資源の利用と変化ー魚霊供養碑データベースの構築
Project/Area Number |
21652072
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田口 理恵 東海大学, 海洋学部, 准教授 (70390713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 登 東海大学, 海洋学部, 教授 (70349330)
関 いずみ 東海大学, 海洋学部, 准教授 (20554413)
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Keywords | 魚霊供養 / データベース / 生命観・自然観 / 文化人類学 / 漁業と信仰 / 水産資源 / 海洋教育 |
Research Abstract |
本研究は、水域の生き物を祀った供養碑のデータベース構築を目的とする。魚類をはじめ水棲生物を祀った人工物を手がかりに、日本における水産資源と人間との関わりや、自然観・生命観を見直そうとするものである。 本年度は、供養碑データをより精緻化させることを目標に、研究成果の公表発信と現地調査につとめた。成果の発信について、調査経過のまとめを雑誌論文や学会で発表する他、第13回ジャパン・インターナショナル・シーフードショーへのパネル展示参加や「お魚供養写真展」(於東海大学海洋学部、2011年11月1~3日、2011年12月10日、於隠岐・西ノ島町中央公民館、2012年2月19日)など実施した。特にパネル展示や写真展は、新しい情報を収集する機会と捉えて積極的に開催してきた。 また、研究メンバーは各自で特徴的な供養碑を取り上げ、個別地域や時代からみた人と魚の関係についての小論をまとめていき、それら小論をもとに、供養からみる人と水域の生物との関わりや生物観の変遷についての議論を深めていった。その成果を東海大学出版会から単行本として刊行することができた。研究総括のためのシンポジウム(12月10日、「水産資源と文化-魚介類のいのちと感謝のこころ」も開催することができた。 人間文化研究機構・連携研究などの関連テーマの研究プロジェクトと連携・共同で進めたことで、今年度は山口県の下関市周辺と長門市沿岸、大分県の臼杵市から佐伯市までの沿岸部にて現地調査を行うことができた。現地調査では、供養碑の所在と現状を確認するだけでなく、聞き取りと郷土資料の調査もあわせて行なうことで新たな供養碑の情報を集めることができた。その結果、1300基となった供養碑データベースの分析から、近代水産業の発展に応じて供養碑の数が増加してきたことなどを明らかにすることができた。水棲生物に対する供養や祀りのマクロな動向とともに、個別地域や個別生物に見られる供養・祀りの特性も把握できるようになった。
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Research Products
(8 results)