2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21653004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 智章 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90177460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四ッ谷 有喜 新潟大学, 人文社会・教育学系, 准教授 (40323951)
石畝 剛士 新潟大学, 人文社会・教育学系, 准教授 (60400470)
岡庭 幹司 横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 准教授 (60272407)
南方 暁 新潟大学, 人文社会・教育学系, 教授 (70125805)
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Keywords | 介護報酬 / 担保化・証券化 / 将来債権 / 債権譲渡 / 介護施設 |
Research Abstract |
本研究の総括として、2011年11月26日、「保険医療機関指定の法的性質と診療報酬請求権再論」(報告:加藤智章、於:新潟大学)というテーマで研究会を開催した。この研究会での議論とその後の各自の研究成果に関する意見交換を通して、以下のように要約することができる。 介護保険事業者の収入は、基本的に自己資金、補助金等収入、利用者負担及び介護報酬により構成される。その中でも主たる収入源は介護報酬である。しかし、主たる収入源である介護報酬が月単位の短期的収入であるのに対し、施設・設備整備に係る費用などは長期にわたり償却される費用を一時期に支出する必要があることから、その財源は借入金に依存することとなる。また近年、補助金や交付金が減少しているため、資金計画に占める借入金の割合が高まっている。こうして事業の種類によって程度の差はあるものの、常態的に多額の借入金ニーズがあること、特に、介護保険報酬債権は一般的に信用力が高いため、介護保険報酬債権の証券化・担保化のニーズが高いと考えられる。実際、独立行政法人福祉医療機構などが、貸付事業を展開しているが、介護報酬債権を証券化・担保化する際、リスクが現実化した場合に損害が大きい・指定取消等処分および・倒産については、特に将来債権の問題としてなお検討すべき問題であろう。 また、社会保障法学と民法との基本的認識の共有化という課題も、本研究を通じて明らかになった。具体的には、診療報酬債権と介護報酬債権をそれぞれ将来債権とみるか請求済み債権とみるかという問題などが検討すべき論点となろう。 以上のような経過を経て、石畝剛士「介護保険契約の規制枠組-序論」(法政理論・2012年)、加藤智章「公的医療保険と診療報酬政策」日本社会保障法学会新講座第1巻所収予定(法律文化社、2012年5月予定)が、本研究の研究成果として、刊行される予定である。
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