2010 Fiscal Year Annual Research Report
触法行為を行った知的障害者への刑事司法における支援
Project/Area Number |
21653005
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
平野 美紀 香川大学, 法学部, 准教授 (70432771)
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Keywords | 刑事法学 / 知的障害 |
Research Abstract |
1.知的障害犯罪者は通常、責任無能力とされることはなく、責任能力が認められて刑務所で処遇されている。刑事司法段階で配慮が必要とされることも多いうえに、刑務所では処遇が困難とされることも多い。そこで本年度は、知的障害を有する触法者の施設内処遇に関しては刑務所やPFI刑務所である社会復帰促進センター、同じく社会内処遇に関しては知的障害者援護施設や障害者支援施設、知的障害児施設への訪問調査を行った。具体的に知的障害を有する受刑者や触法少年、あるいは元受刑者の処遇において、苦心している点等の調査や逆に効果的な方策について、聞き取り調査を開始した。受刑中に精神疾患に関する服薬等があれば、ほぼ確実に精神保健福祉法26条による矯正施設長からの通報は行われているものの、出所後、円滑に社会復帰していくためには社会での受入れが重要であり、現実には、地域社会との共生やそのことにより施設や施設利用者に関する透明性の確保が求められている現代においては、出所者を受け入れることが容易ではない。しかし、関係機関の情報共有や連携の配慮によっては、受入れは可能であるという知的障害者施設からの意見もあり、その課題を刑事施設側にどのように伝えて連携するかが鍵となることが明らかになってきた。 2.加えて、昨年度の刑務所での聞き取り調査の際、高齢者も知的障害者と同様、帰住先が確保できないために再犯につながってしまうことが大きな課題となっていることをたびたび指摘された。昨年度行った知的障害者の受刑段階での調査と比較するために、刑事司法段階や処遇において配慮が必要とされる高齢者の問題についても検討を行い、論文とした。
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Research Products
(1 results)