2009 Fiscal Year Annual Research Report
物品流通関係当事者についての法とその他の行動調整メカニズム
Project/Area Number |
21653006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 真希子 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 准教授 (50302641)
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Keywords | 取引法 / 質的調査法 |
Research Abstract |
研究の初年度である本年度は、研究の基礎固めとして、(1)実証研究(実態調査)の方法論について知識を深める、(2)社会学系の新制度理論にもとづき、企業の取引実態に関する先行業績をまとめる、(3)流通にかかわる法的な問題について検討する、という3つの柱に基づき研究を進めるのが当初の計画であったが、特に(1)と(2)を中心に研究を進めた。(1)の実証研究(実態調査)については、King, G., et al, Designing Social Inquiry, Princeton, 1994のような客観的立場と、これに対する主観的立場の方法論的対立について、同様の関心を持つ大学院生と議論をおこなうなどして、知見を深めることができた。(2)の比較法に関しては、特にスカンジナヴィアにおける研究について調査を行った(Pedersen, Per Vestergaard, 'Logistikaftaler og Ligende Afteler om Transportog Logistikydelser', in Transportret : Introduktion til Reglerne om Transport af Gods, Copenhagen, 2008など)。また米国で、Gilson, Ronald J., et al, 'Contracting for Innovation : Vertical Disintegration and Interfirm Collaboration', Columbia Law Review 109 (3) : 431, 2009という注目すべき論文が現れた。米国の著名研究者らによるこの論文は学会に議論をまきおこすものと考えられるので、この論文をめぐる今後の動きに注目したい。 (2)の新制度理論については、基本文献・参考資料の収集は進んだが、かならずしも、関与当事者間で法規範やその他の規範、メカニズムがどのように共有され、拘束力を持ち、また個々の当事者がどのように規範を選択・利用するかという、本研究の目的に即して利用できる形での分析が十分にできなかったので、この点を反省点とし、次年度以降にさらに研究を深めていきたい。
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