2011 Fiscal Year Annual Research Report
物品流通関係当事者についての法とその他の行動調整メカニズム
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21653006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 真希子 東北大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (50302641)
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Keywords | 民事法学 / 商取引法 |
Research Abstract |
平成23年度は、船社・航空会社・倉庫業者・フォワーダー・荷主企業等を対象としてインタビュー調査を実施し、多くの知見を得ることができた。実態調査を通じて判明してきたことのうち重要な点は、第1に、物流分野の取引は、物流企業が顧客に対し約款をベースとして定理的に提供するサービスと、顧客ごとのニーズに応じてカスタム・メイドの契約で提供するサービスの2つの類型に大きくわけることができ、このいずれに当たるかは、本研究が想定してきたこととは異なり、物流サービスの高度化の度合いではなくサービスの種類による、ということである。第2に、運送・保管という従来型のサービスに新たなサービスを付加し物流に付加価値を与えるというえで注目すべきなのはフォワーディング業務であり、ただ、フォワーディング業務といってもそこには多様な業務が含まれ、フォワーダーだけではなく、様々な物流企業が、契約当事者として、それぞれの得意分野でサービスの提供を引受けているということである。 また、平成23年度は、イギリスの運送法制について詳しく研究することができ、多くの知見を得ることができた。「運送」というひとつの経済事象であるが、法的には、日本とイギリスとで把握の仕方が大きく異なる部分がある。たとえば、これまで日本の学説は、荷送人が運送契約の当事者であることを自明視してきたが、イギリス法上、荷主側の誰が運送契約の当事者であるかは、それ自体、大きな論点であることがわかった。このことからヒントを得て、実態調査で実務を調べると、日本でも、あまり紛争化していないだけで、契約当事者の認定は実際には簡単ではないということが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度には東日本大震災が発生し、東北大学での業務日程や研究に割くことができる時間数に影響が出た。秋以降は平常化に向かったので、遅れた分を取り戻すべく、努力している最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に引き続き、以下の方針で研究を継続する予定である。 (1)企業に対する実態調査の継続 フォワーディングにかかる貨物の流れに焦点を当てて実態調査を継続し、関係当事者間の契約について調査する。 (2)実態調査を裏付ける文献調査 先行研究、関係法令・判例、海外文献などについて調査する。 (3)制度論との接合
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Research Products
(2 results)