2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21653016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青柳 真樹 Osaka University, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
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Keywords | ネットワーク財 / 戦略的操作不可能性 / 事後的個人合理性 / 最適メカニズム |
Research Abstract |
ネットワーク財とはその価値が他の消費者の消費行動に依存して決まってくるような財である。たとえば携帯電話等の通信機器では利用者の数が直接的に、またコンピュータのオペレイティングシステムでは利用者の数がOS上で作動するソフトの種類や質などを通じて間接的に、その価値を決定する。その他工業団地、燃料自動車、ファッション財などネットワーク財とみなせる財は数多く存在する。21年度の研究ではこのようなネットワーク財の最適な販売方法をメカニズムデザインの観点から分析した。 分析に当たってはメカニズムの信頼性の視点からどのような性質が満たされるべきかについて検討を行い、それらの性質を満たすメカニズムの中で財の売り手にとって最も望ましいメカニズムの特徴付けを行った。これらの分析は買い手が財に関して持つ価値が購入者の集合(あるいは数)および彼目身の私的なシグナルに依存して決定されるという仮定の下で行われる。分析では財の価格が購入者の集合によってのみ決定されるようなメカニズムが信頼性の高いメカニズムであると議論した上で、ネットワーク財のメカニズムにおける信頼性の確保には通常の中間的な誘因両立性、個人合理性に代えて、事後的な誘因両立性、個人合理性を考慮することが望ましいと議論している。これらの条件のもとで、もし財の外部性が十分に強い場合には、購入者の数が多くなるほどより低い私的シグナルを持つ消費者でも購入できるような価格付けが売り手にとっての最適なメカニズムと整合的であることが示される。さらにはこれらの特徴付けは私的シグナルの確立分布に対する非常に一般的な仮定のもとで成り立つことが示される。
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