2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21653016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青柳 真樹 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
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Keywords | 外部性 / 集団的戦略的操作不可能性 / 最適メカニズム / 利潤最大化 / 効率性 / 不完備情報 |
Research Abstract |
消費者にとってある財の価値が他の消費者の消費行動に依存するような場合にその財は外部性を持つという。たとえば通信機器は多くの消費者が消費(使用)すればするほど、その価値が高くなる。他にも電気自動車やパソコンのオペレーティングシステム、工業団地など、外部性を持つ財の種類は数多い。このような財が独占的に供給される場合の売り手の利潤を最大にするような最適販売戦略について研究を行った。具体的にはそれぞれの消費者にとっての財の価値は彼自身の私的タイプと、全体の購入者数に依存するとする。財の販売メカニズムとして、すべての消費者のタイプに応じて購入者を決定し、購入者数に応じて価格を決定する仕組みを考える。購入者数に応じた価格付けはより一般的な価格付けの方法に比較して信頼性が高く現実的である。信頼性のもう一つの条件として特に中間財の販売の際に問題になる買い手間の共謀の可能性を考慮し、集団的戦略的操作不可能性を要求する。分析によるとこれらの条件を満たすメカニズムの中で最適なものは、購入者数が大きいほどより低いタイプの消費者でも購入が可能な価格を設定し、しかも参加制約のもとで購入者数を最大化するようなものである。この結論は消費者の価値関数や、タイプの確率分布についての非常に緩やかな仮定の下で成り立つ。外部効果を持つ財の最適販売戦略について特に不完備情報を扱った先行研究はなく、本研究はそのような戦略に関する基本原則を示したものと言える。
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