2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の経営会計実務の合理性に関するミクロ経済学的基礎理論の構築
Project/Area Number |
21653020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
多和田 眞 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10137028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 誠 広島大学, 社会学研究科, 教授 (30177084)
山本 達司 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80191419)
木村 彰吾 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10225039)
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Keywords | 経営会計実務 / 日本企業の行動 / 契約理論 / エージェンシー問題 |
Research Abstract |
本研究は岡村が平成21年度の研究費の一部を22年度に繰り越して実施したもので、これによって、企業の法律的、制度的特徴が企業行動と産業全体に与える効果とその経済厚生上の帰結について研究を行った。企業が赤字(マイナスの利潤)出した場合、2つの対処策が法律上可能である。1つは有限責任制であり、もう1つは無限責任制である。有限責任のもとでは、企業は赤字のうち売上額のみ支払えば、残りの部分は支払う必要がない,これに対して、無限責任では赤字の全てを支払う責任が生じる。現実の経済ではほとんどの企業が有限責任会社である。この現象を分析できるモデルの作成に取り組んだ。モデルは第1 stageで企業が有限責任か無限責任かを選び、その決定を所与として第2 stageで、複数の企業が生産物市場でクールノー競争を行う2段階ゲームのモデルである。このゲームの部分ゲーム完全Nash均衡を後方帰納法によって求めた。均衡ではすべての企業が単独で有限責任か無限責任の意思決定を変えるインセンティブを持たない。市場需要の不確実性がある程度大きければ、均衡はただ一つ存在し、そこでは全ての企業が有限責任を選ぶ。また、不確実性が小さい時には全ての企業が無限責任になる。また、有限責任企業の均衡は、次善の意味で効率的であることを明らかにした。 以上の結果を「Endogenous Determination of Organizational Form;Company Limited vs.Partnership」として作成して、立命館大学のworking paperとした。
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