2009 Fiscal Year Annual Research Report
企業家精神の国際比較:構造方程式モデルによる経済発展プロセスの定量的解明
Project/Area Number |
21653024
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
小井川 広志 University of Nagasaki, 国際情報学部, 准教授 (50247615)
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Keywords | 企業家精神 / 構造方程式モデル / 経済発展 / 東アジア / 地場サプライヤー / 多国籍企業 / 産業リンケージ / Entrepreneurial Orientation |
Research Abstract |
本研究は、東アジア諸国の経済発展プロセスにおける企業家精神(Entrepreneurship)の役割に着目し、経済発展に果たす企業家精神の役割を構造方程式モデルを用いて定量化することを目的としている。企業家精神とは、資本、労働、技術、情報などを効果的に結合・動員させる高次元な個人的能力を指す。これは、他の生産要素に対して優越する特殊な生産要素に他ならず、経済発展プロセスにおける積極的な役割が期待されるが、市場メカニズムが不完全な途上国では、その健全な発揚が一般に著しく抑制される。本研究は、経済発展に成功しつつある東アジア諸国の経験を現地調査を通じて体系的に整理し、これに地場企業を対象にしたアンケート調査の結果を踏まえて定量的分析な考察を加えていく。 研究初年度である平成21年度には、複数回にわたりマレーシア・ペナンでの現地調査を敢行した。この地域は、多国籍企業の進出を契機に関連部品供給のために創業した企業家精神あふれる地場サプライヤーが集積していることで知られている。調査では、約50社の地場企業の創業者とのインタビューから、創業者のプロフィール(学歴、資産状況など)、創業の契機、技術導入のチャンネル、主要顧客との接触経緯など、企業家精神とその後のパフォーマンスに影響を与えうる諸変数の体系化に注力した。同時に、多国籍企業の購買担当者にも広くインタビュー調査を行い、サプライヤーの発掘、育成、選別などの戦略に影響を与える要因を整理、体系化することができた。 研究初年度につき、本格的なアンケート調査とそれに基づく定量分析は次年度以降の課題として残されている。本年度の研究成果は、途中経過的ではあるが2本の英語論文として公表され、有益なコメントも届いている。
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