2009 Fiscal Year Annual Research Report
評価国家の構造と動態――「新しい介入主義」分析の構想
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21653039
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
町村 敬志 Hitotsubashi University, 大学院・社会学研究科, 教授 (00173774)
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Keywords | 評価国家 / 国家論 / 市民社会 / 権力構造 / NPO / 公共圏 / 新自由主義 |
Research Abstract |
2009[平成21]年度は、当初の実施計画に従い、国家論・制度論について研究協力者も交えて理論的検討を進めた(研究読書会を開催)ほか、とくに、政策の体系的洗い出しとその分析的再読作業に重点をおいて研究を進めた。具体的には、バブル経済崩壊から新自由主義への展開が進む1998年から2008年までの期間に関し、国家政策の広範な政策領域について、「評価国家」形成という視点から重要と考えられる政策文書を体系的に洗い出し、それらのデータベースを作成した。合計547の政策文書に関して、発表時期・作成主体のほか、「協働・連携」「評価・監査」「NPO/NGO」「モデル事例」への言及の有無、作成にあたった組織の座長、出身領域別のメンバー構成、さらに具体的な参加団体リストなどが整理され、利用可能な状態になっている。以上の作業のなかで、政策形成過程に参画する団体が、1980年代までの財界・企業トップ層中心から多元化の傾向が見られること、とくに、各種専門職機関(シンクタンク、コンサルタントを含む)とNPO/NGOからの参加者が増加していることが明らかとなった。資格や認証制度の拡充、NPOの制度化といった動きに後押しされながら、市民の政策的力量は拡大し、市民社会組織が政策過程に参画する機会や範囲は確かに拡大しつつある。しかしながら、財政を通じた国家介入の場合には議会による民主的統制が原理的に可能であったのに対して、国家・経済界・市民社会の境界再編にともなって産まれている新しい政策形成過程においては、民主的な統制の契機がまだ明確にはなっていない。また、NPO/NGOの側も、こうした新しい「動員」の過程に対して両義的な姿勢を示している。
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Research Products
(2 results)