2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21653048
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
渡邊 勉 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30261564)
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Keywords | ライフヒストリー / web調査 / ライフヒストリーカレンダー / 自由回答 / 職業経歴 / 家族歴 / 地域移動歴 |
Research Abstract |
今年度は、2つの方向で研究を進めた。 第1に、既存のライフヒストリーデータの新しい分析法の応用について検討した。これまでは、ライフヒストリー全体を包括的に分析するために最適マッチング分析を主としておこなってきたが、新たに決定木分析をおこなった。その結果、ライフヒストリーのさまざまなイベントや系列が結果(例えば現在の収入状況)と関連していることが明らかとなった。データの複雑性を、かなり単純な方法によって縮約し、因果関係を特定できるという点で、ライフヒストリーデータが優れた分析法の一つであることを示すことができた。 第2に、昨年度おこなったインターネットによる調査データの分析をおこなった。具体的には、自らの人生を振り返った印象や親の人生についての評価などの質的データについて、検討した。テキスト分析など量的な分析の可能性を探り、その上でライフヒストリー全体との関係について検討した。しかし今年度の分析では、十分に関連を明らかにすることができなかった。それは、調査質問文の問題、自記式という調査法の問題があると考えられる。しかし、テキスト分析をさらに多角的におこなっていくことで、どのような関連があるのか、あるいはないのかを明らかにすることができるだろう。 以上の分析より、インターネットを利用したライフヒストリー調査の有効性と課題を明らかにすることができた。CASI(Computer Assisted Self-Interview)による量的、質的なライフヒストリーデータを収集することの有効性を示すことができた。その一方で、質的データの収集法に問題があること、また調査対象者の負担は重いので、それをどのようにして軽くしていくかを検討していく必要があると感じた。
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