2010 Fiscal Year Annual Research Report
問題解決場面における社会心理学方法論拡張の可能性:個人焦点の方法論を越えて
Project/Area Number |
21653060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐沢 かおり 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50249348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 裕幸 九州大学, 人間・環境学研究科, 教授 (50243449)
戸田山 和久 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (90217513)
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Keywords | 実証的手法 / ナイーブリアリズム / 科学哲学 |
Research Abstract |
1.個人焦点の方法論の帰結と、その他の社会心理学の方法論上の問題点の整理 個人焦点の方法論の功罪に関する議論を深化させ、他の社会心理学の方法論上の問題とあわせて、論点の整理を行った。その結果、主な論点として下記の問題が明らかになった。(1)ナイーブリアリズムが研究に「ナイーブ」に侵入していること、(2)確率論的に現象を把握する研究手法を持ちながら、「言説」が決定論的になること、(3)「新たな知見」志向が、データの蓄積を困難にしており、結果として特定の変数の効果について地道な言説ができないこと、(4)実験により特定の変数の効果を純粋に取り出そうとする結果、その効果量が「過大に評価」され、日常の現象に戻したときに誤解につながること。 2.個人焦点の方法論を緩めた研究の可能性の検討 問題解決型研究を実際にすすめながら、個人の態度や判断に焦点を当てるよりも、個人の和をこえた集団の特性の把握というアプローチの可能性について検討した。その際、従来集団錯誤として排除されてきた「集団心」を集団の判断や知識の産出過程(情報処理機能)と捕らえなおしたうえで、集団レベルでの表象の妥当な概念化を検討・導入する必要があり、その概念化を助ける手段として、集団に対する素朴心理学を応用することや、集団のコミュニケーションパターンをリアルタイムで追跡し、その過程を分析する手法の有効性が示唆された。また、手法から得られた知見が、心理学の要求する妥当性や信頼性の高さから逸脱する程度に関して、科学哲学の知見を踏まえながら検討を行った。
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Research Products
(7 results)