2009 Fiscal Year Annual Research Report
描画と言語プロトコルの統一的分析法の開発とそれに基づく臨床社会心理学的研究
Project/Area Number |
21653061
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹村 和久 Waseda University, 文学学術院, 教授 (10212028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩満 優美 北里大学, 大学院・医療系研究科, 准教授 (00303769)
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Keywords | 描画 / 言語プロトコル分析 / 臨床社会心理学 / 面接調査 / 野外調査 / 特異値分解 / 画像解析 / 数理モデル |
Research Abstract |
臨床の現場においては、クライエントに描画をさせ、その描画の特徴から、臨床的な診断を行うということがなされている(岩満他,2004)。しかし、このような方法は、客観性が乏しいとの批判がなされている。我々は、このような問題から、描画の統計的画像解析の技法を開発して、描画を行列としてみなして分解する方法を示し、精神病院の患者や一般成人を対象に、研究を行ってきた。しかし、実際の臨床現場では、描画だけでなくクライエントの言語報告も重要になる。言語報告も定性的なデータとして扱われることが多く、描画の分析と同様の問題を抱えている。描画と言語報告(言語プロトコル)のより客観的な分析が必要とされる。 本研究は、描画と言語プロトコルの統一的観点に立った分析法を開発し、その方法に基づいて臨床社会心理学的研究を行った」。本研究では、調査研究で得られる描画と言語プロトコルを同時に開発する計量的方法を開発することを第一の目的とした。また、開発した方法を用いて、臨床場面での描画とそれに対応する言語プロトコルの計量的特徴次元と抑うつやストレスや行動指標などとの関連分析を行い、臨床社会心理学的知見を得ることを第二の目的とした。最後に、本研究で開発した方法をもとに、精神疾患患者や社会的弱者への偏見を測定し、偏見解消の処方箋を求めることを第三の目的とした。 本研究では、描画像は、スキャナーを用いて計算機の画像に描画を取り込み、画像をいくつかに分割する。また、言語プロトコルは、単語の頻度情報から、局所的エントロピーと大域的なエントロピーから重要度行列を作成し、その行列を同時に特異値分解する方法を開発する。言語も画像も一種の行列とみなしてこれを分解する方法をとった。 また、種々の社会的状況での現地面接調査や描画法とプロトコール法を用いた調査を大ない結果を解析し、学会において研究発表を行った。
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