2011 Fiscal Year Annual Research Report
「心の理論」の獲得とプラグマティックな言語理解の発達
Project/Area Number |
21653064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
子安 増生 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70115658)
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Keywords | 心の理論 / プラグマティックス / 言語理解能力 / 生涯発達 / マインドリーディング / 二次的誤信念課題 / うそと皮肉の区別 / 責任性の理解 |
Research Abstract |
本研究では、児童期以後の「心の理論」研究の進展をはかるため、「心の理論」と関連するプラグマティックな言語理解能力の発達を測定する課題を新たに開発し、研究を進めることを目的とした。 平成22年度の研究Iでは、青年期の心の理論を相手の心を読む「マインドリーディング」課題においてロールプレイ体験がその発達に及ぼす影響を検討した。大学生40人の参加者をランダムにロールプレイ群とロールプレイなし群に分け、コンピューターディスプレイ上に表示された4列×4段の棚のスロットの中にあるオブジェクトを棚の反対側に立っている「店長」の注文に従って、オブジェクトに指でタッチすることが求められた。参加者からはすべてのオブジェクトが見えているが、「店長」からはいくつかのオブジェクトは見えなかった。実験の結果、ロールプレイなし群ではロールプレイ群よりも誤答が多く、反応時間が長かった。すなわち、ロールプレイ体験はマインドリーディングを活性化させることが示唆された。この研究は、『心理学研究』に投稿して採択された(印刷中)。 この研究Iを受けて、平成23年度の研究IIでは、小学生にも実施可能なように、4列×4段の棚のスロットの中にあるオブジェクト数を減らして、小学生46名(8歳~11歳,男児21名,女児25名)を対象に実験を行った。ロールプレイの有無で群分けをしたほか、他者の心の理解に関する課題(二次的誤信念、うそと皮肉の区別、責任性の理解)の成績で高群と低群を区別した。ロールプレイなし群はロールプレイ群よりも誤答率が有意に高く、心の理解低群は心の理解高群よりも誤答率が有意に高かった。また、交互作用も有意であった。ロールプレイはマインドリーディングを活性化し、その得点と関連するのは年齢ではなく心の理解の発達であることが明らかになった。
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[Presentation] Theory of mind performance in British, Australian, Japanese and Italian Children : Contrasts in culture or age of school entry?2011
Author(s)
Hughes, C., Ensor, R.A., Allen, L.L., Devine, R.T., De Rosnay, M., Koyasu, M.
Organizer
2011 SRCD (Society for Research in Child Development) Biennial Meeting
Place of Presentation
カナダ・モントリオール国際会議場
Year and Date
2011-04-02
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