2009 Fiscal Year Annual Research Report
中学生における境界例心性の把握と自傷行為予防プログラムの開発
Project/Area Number |
21653070
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
井上 果子 Yokohama National University, 教育人間科学部, 教授 (10242372)
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Keywords | 親子関係 / 質問紙調査 / 学校適応感 |
Research Abstract |
思春期・青年期の若者は、それまで養育者など周囲の人物が自身に向ける行動などを取り入れて行動してきたパターンから、確立しつつある自身のアイデンティティに添った行動へとシフトしていく。そのような時期に「リスカ」などの自傷行為は、自身のアイデンティティのゆがみを象徴化していると考えられる。 本研究では、思春期後期の「自傷行為」の経験率を把握し、思春期全般の問題行動の実態を把握することを目的としている。そのために、第1研究では、県内の中学生を対象にした、面接調査及び質問紙調査を実施した。面接調査では、中学生の自傷行為の実態を把握する事を目的とした。面接で「周囲で見られるあるいは話題にされている中校生の自傷行為について」実態の報告を受けた。その報告内容を吟味し、自傷行為として質問紙調査の項目に加えた。第2研究では、中学生に質問紙調査を実施し、自由回答式で、自傷行為項目の他に、境界例心性尺度、親子関係尺度、学校適応感などの尺度を加えて、実施している。その結果、「自傷行為」の背景要因として親子関係、特に境界例心性があることが明らかとなった。 この年代の若者の激しい行動化の背景に、自身ではどうしようもできない環境やその環境から培われた若者の精神内界がある。この精神内界への適切な働きかけがこの時期に重要と考える。
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