2009 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児と定型発達児の比較研究:社会性発達成立基盤-自己制御と共感
Project/Area Number |
21653075
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
石川 文子 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所 児童・思春期精神保健部, 協力研究員 (20466212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 弘美 国立精神・神経センター, 精神保健研究所 児童・思春期精神保健部, 協力研究員 (20455413)
黒田 美保 東海学院大学, 人間関係学部・心理学科, 准教授 (10536212)
稲田 尚子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所 児童・思春期精神保健部, 協力研究員 (60466216)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 自己制御 / 共感 / 実行機能 / 顔表情 / 行動観察 / 未就学児(幼児含む) / 社会性 |
Research Abstract |
本研究は、3歳の「定型発達(TD)児」と社会性に深刻な障害を持つ「自閉症(ASD)児」との比較を通して、自己制御(self-regulation)と共感(empathy)の早期発達プロセスを明らかにすることを目的としている。具体的には、パズル課題((1)故意に欲求不満が促進されるような文脈を人工的に造った場合の被験反応観察:自己制御)と紙芝居課題((2)他者の感情表出の予測能力観察:共感)を被験児に実施した場合、TD児とASD児の行動は異なるか、を調べる。昨年度は、まず本実験に先立ち4名ほどの2-3歳児の参加を仰ぎ、パイロット・スタディ(予備実験)が実施された。パイロット・スタディで得られた経験から、実験手順などの改良・改善を行い、本実験にのぞんだ。結果、総計6名の自閉症リスク児(2歳児)が参加された。パズル課題では、不完全なはめこみパズルセットを用いて、わざと欲求不満が提起されるような文脈を作った場合の被験児の反応を観察する。不完全なパズルセットでは6ピースのうち3ピースは、わざと大きめに作ってありくぼみにはめられないが、くぼみと不完全なピースは形がよく似ているため、「はまらない」ことに子どもは気がつかない。次に、紙芝居課題では、2種類の感情、「喜び」と「悲しみ」の紙芝居を各感情に応じてそれぞれ2セットずつ、計4トライアル実施した。例えば「喜び」の「おやつに大好きなケーキが出た」紙芝居では、一枚目はケーキのイラスト、そして二枚目はケーキを前にしたこどものイラストが提示される。二枚目のこどものイラストは、顔部分のみくりぬいてあり、被験児は4種類の顔表情カード、「喜んでいる」、「怒っている」、「悲しんでいる」、「ニュートラル(何の感情もない)」、から一枚選び紙芝居にはめ込む。口頭で顔表情選択の理由を尋ね記録する。後の自己制御と共感の観察評定のために、両課題とも作業の様子は全て撮影された。現在、引き続き上記の実験を継続して実施している。
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Research Products
(1 results)