2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児と定型発達児の比較研究:社会性発達成立基盤‐自己制御と共感
Project/Area Number |
21653075
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
石川 文子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部, 協力研究員 (20466212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 弘美 独立行政法人国立神経・精神医療研究センター, 精神保健研究所・児童・思春期精神保健研究部, 協力研究員 (20455413)
黒田 美保 東海学院大学, 人間関係学部・心理学科, 准教授 (10536212)
稲田 尚子 独立行政法人国立神経・精神医療研究センター, 精神保健研究所・児童・思春期精神保健研究部, 協力研究員 (60466216)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 自己制御 / 共感 / 実行機能 / 顔表情 / 行動観察 / 未就学児(幼児含む) / 社会性 |
Research Abstract |
本研究は、3歳の「定型発達(TD)児」と社会性に深刻な障害を持つ「自閉症(ASD)児」との比較を通して、自己制御(self-regulation)と共感(empathy)の早期発達プロセスを明らかにすることを目的としている。具体的には、パズル課題((1)故意に欲求不満が促進されるような文脈を人工的に造った場合の被験反応観察:自己制御)と紙芝居課題((2)他者の感情表出の予測能力観察:共感)を被験児に実施した場合、TD児とASD児の行動は異なるか、を調べる。本年度は、データ取得の継続と、データの検討・解析を実施した。具体的には、下記のとおりである。厚生労働省からの委託事業である「1歳からの広汎性発達障害の出現とその発達的変化:地域ベースの横断的および縦断的研究(こころの健康科学研究事業』」の一貫として、平成22年度3月31日まで2年間にわたり西東京市で実施された2歳児検診における、自閉症スクリーニング評定尺度(M-CHAT : Modified Checklist for Autism in Toddlers)および評価面接実施の結果、定型児と高リスク児に分類された被験児データベースより、参加同意が得られた被験児家族に実験・検査の説明を行い同意書に記入後、参加日の調整をした。実際の参加当日、被験児の親との面接、パズル課題と紙芝居課題の観察実験を実施した。参加時期は異なるが、実験時はそれぞれの被験児は基本的に月齢24か月から48か月までであることを条件とした。西東京市データベースに関する本実験のすべての課題は、研究代表者が所属する独立行政法人、国立精神・神経医療研究センター内の専用の行動観察室内で行った。行動観察室にビデオカメラと三脚を用意し、実験の様子を撮影した。また、行動観察エリアと音響設備室との境にマジックミラーが設置され、音響設備室内から一方向的に行動観察エリア内の様子が伺えるようになっている。年度末には、データの信頼性強化と研究促進を目的に最終年度の研究計画を立てた。例えば、研究代表者や研究分担者が非常勤などで教鞭を取っている他大学の研究室に協力を仰ぎ、定型発達児のリクルートを行うなどである。実験データの検討・解析であるが、研究代表者が非常勤講師として所属する大学の学生に謝金を支払い協力を仰ぐ。最後に、研究発表であるが、データに基づいた検討を行い、大学の紀要や学会などで発表予定である。最終年度の研究計画については、現在埼玉工業大学などと話し合いを行っている最中である。
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