2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21653076
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小川 園子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50396610)
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Keywords | 思春期 / 社会的認知行動 / 社会的不安・情動性 / 社会的嗜好性 / エストロゲン / テストステロン / 神経内分泌基盤 / 攻撃性 |
Research Abstract |
社会行動発達においては、思春期特有のホルモン環境が重要な役割を果たしている。特に、社会的コミュニケーション力の障害や欠如といった「社会性の破綻」という問題を考える際に、思春期における行動とその神経内分泌基盤を理解することは極めて重要であると言える。そのためには、思春期に特有の社会的不安・情動性や社会的認知や関心について解析する方法を確立することが急務である。そこで、マウスを用いた下記の2種類の社会行動テストについて、装置及び解析プログラムを新規に開発し、測定の信頼性と妥当性を検討した。 (1)「社会的嗜好性・関心・恐怖の測定装置」の開発およびテスト法の確立:テスト個体のホームケージに金網を介して2つの刺激個体提示ケージを隣接させ、接合部には赤外線フォトビームを設置した装置を作成した。マルチシグナル入力装置を介してWindowsコンピューターに送られるデータをもとに、テスト個体がそれぞれの刺激個体提示ケージの前に滞在する時間を15分ごとに連続的に自動記録した。その結果、異なる刺激個体マウス間での選択課題による社会的嗜好性の検出ばかりでなく、刺激個体マウスと空ケージとの間での選択課題による、社会的関心や恐怖の測定も行えることが明らかとなった。 (2)「社会的認知行動テスト法」の確立:テストマウスを実験用ケージに移しテリトリーを確立させた後、刺激個体をシリンダーに入れて提示した際のテストマウスの行動をケージ床面中央から57cm上方に設置されたビデオカメラで撮影し、画像解析プログラムによる自動オフライン解析により社会的探索行動、ケージ内での移動距離と移動軌跡やシリンダーへの接近・回避の頻度を測定した。これらの行動測定により、テストマウスの「個体識別」および「社会的記憶能力」ばかりでなく「社会的場面での不安・情動性」の測定も行えることが明らかとなった。
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Research Products
(18 results)