2009 Fiscal Year Annual Research Report
「気になる」子どもとともにある「集団づくり」の協働プロジェクト
Project/Area Number |
21653084
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
服部 敬子 Kyoto Prefectural University, 公共政策学部, 准教授 (70324275)
|
Keywords | 「気になる」子 / イメージ遊び / 親密性の形成 / 集団づくり |
Research Abstract |
「気になる」子どもが「発達障害の疑い」として顕在化してくる3歳児クラスから5歳児クラスまでの3年間にわたって、1)「気になる」子どもたちの「問題」が他の子どもたちとの関係でどのように変化していくか、2)「気になる」子どもたちとともにあって楽しい集団遊びづくりの方法、3)友だちとの親密性の形成が「気になる」子どもたちの情緒的安定や自己制御力に与える影響を明らかにすることを目的として、保育者との協同的実践追跡研究を開始した。今年度は、本プロジェクトへの参加希望があった保育者に園の概要と対象となるクラスの状況(前年度までの概要、[気がかり」な子どもの発達経過、その時点での保育者の問題意識等)、保育計画等を書いていただき、月に1回程度の頻度で保育場面への参加観察、及び、「気になる」子を中心とする保育者の実践記録についての検討を行った。「気になる」子が複数名いるクラスの担任保育者に「問題意識」に共通するのは、他の子どもとのトラブルが多いこと、保育者の「注意の言葉がけ」への反応や行動改善が乏しいこと、イメージを共有して遊ぶことが難しいことであり、実践記録に共通するのは、「気こなる」子どもの否定的な姿のみに着目されていることと、保育者からの否定的な言葉かけが多いことであった。そこで、子どもの自己信頼性の発達と「集団づくり」上の課題を整理した筆者の理論的仮説をもとに、この子どもたちにはまず「友だちと一緒に何かをすることが楽しい」実感と「自分への期待感」がもてる経験が必要であると考え、(1)「気になる」子どもが好きなものをべースとしたイメージ遊び、(2)保育者にとって困る行動であっても否定的な言葉かけをするのではなく、まず「○○したかったんだね」と肯定的に受けとめる、(3)親密な友だち関係ができるように二人組やグループ編成を工夫することを提案した。その結果、2か月ほどで保育者と子どもの関係、及び、子どもの姿に劇的な変化がみられた。これらの実践過程について、3月に公開シンポジウムを開いて約100名の保育関係者らに発表し、討議を行った。
|
Research Products
(1 results)