2011 Fiscal Year Annual Research Report
「気になる」子どもたちとともにある「集団づくり」の協働プロジェクト
Project/Area Number |
21653084
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
服部 敬子 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (70324275)
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Keywords | 「気になる」子 / 「問題」行動 / 親密な友達関係 / 話し合い / 遊びづくり / 集団づくり |
Research Abstract |
「気になる」子どもが「発達障害の疑い」として顕在化してくる3歳児クラスから5歳児クラスまでの3年間にわたって、1)「気になる」子どもたちの「問題」が他の子どもたちとの関係でどのように変化していくか、2)「気になる」子どもたちとともにあって楽しい集団遊びづくりの方法、3)友だちとの親密性の形成が「気になる」子どもたちの情緒的安定や自己制御力に与える影響を明らかにすることを目的として、保育者との協同的実践追跡研究を継続した。保育者に園の概要と対象クラスの状況、保育計画等を書いていただき、月に1回程度の保育参加観察、及び、「気になる」子を中心とする保育者の実践記録についての検討を行った。保育観察を通じて明らかになったのは、何らかの「障害」が明確な子どもの「問題」行動に対しては比較的丁寧な受け止めがされやすいが、「気になる」子どもの場合、同じ行動をしても厳しい叱責を受けることが多く、友達からも否定的な評価をされやすいことであった。保育者の悩みで多く共通したのは、「気になる」子どうしが互いに関わりたがりトラブルが頻発・増幅することであった。討議、実践仮説の提案、実践報告を通じて以下のことが明らかとなった。1)4、5歳児クラスになると、保育者の個別の受け止めに加えて、話し合いの場で友達から行動改善を求められたり評価されたりすることがきわめて有効である。2)遊びづくりに関しては、「気になる」子どもが好きなものをベースとしたごっこ遊び、及び、わかりやすいルールのある遊び、話し合いによって「わかりやすいルール」に変更することでトラブルが減る。3)5歳児クラスでは、「技」を高めていくような遊びによって教えあいや励ましあい、認め合いが生起し、そのことが友達関係を深化させ乱暴な関わりが減る。トラブルが頻発する「気になる」子どうしを遠ざけるよりもむしろ、親密性が高まるように、遊びを媒介する環境を工夫することが重要である。
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Research Products
(1 results)