2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21653099
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
土屋 武志 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20273302)
|
Keywords | 教育学 / 教科教育学 / 社会科教育学 / 多文化共生 / NIE |
Research Abstract |
本研究は,Multiple Citizenshipの視点にたつ。つまり一人の個人がいくつかの市民権を持ち,国家のみから与えられる権利だけではないというものである。その中で,立場の違ういくつもの「情報」に向き合う。このような社会は,次のような教育が必要とされる。 a.児童・生徒に自分たちが複数の市民性を持つことを自覚できる教育。 b.情報を多面的に選択し,自ら判断する能力を伸ばす教育。 本研究は,このような視点から外国籍市民が増加している地域の学校において,市民社会の多重性・多文化性を前提にした教育活動とそのための教材を開発する。 新学習指導要領は,「思考・判断・表現」という新しい観点を示し,思考力と表現力との関係を明確化させた。つまり,「読解力」が単なる資料の読解にとどまらず,「思考」活動と関わることを明示した。本研究で明らかにしたイギリスの歴史教科書の事例では,この活動は,生徒自身が,自ら歴史を描くという構成的な「歴史家体験」活動に他ならない。日本の社会科歴史学習実践において,読解力の育成は,大きな課題となっている。本論では,社会科においては,それを解釈型歴史学習によって育成できることを指摘し,その活動を支援する教科書の特色が明確となった。 22年度には,研究協力者との研究打ち合わせや資料収集を主に実施し,計画どおり進行した。その成果は,論文として作成した(投稿中)。 また,本研究助成にもとづく著書『解釈型歴史学習のすすめ-対話を重視した社会科歴史-』を執筆した。23年6月刊行予定である。
|