2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21653103
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宇田 廣文 University of Miyazaki, 教育文化学部, 教授 (50040994)
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Keywords | 比較研究 / 研究デザイン / エビデンス |
Research Abstract |
今後の数学教育の方向性を考えるためには,現在の教育方法の評価をしっかり行うことが重要である。そのために,本研究では「根拠となるエビデンス」を生成するために必要な研究デザインに関して,数学教育における特徴や課題を検証し,今後の調査研究を進める際の具体的な方法論を確立することを目的としている。本年度は,研究の初年度であり,その準備期間として,1) これまでの数学教育の研究方法についてサーベイと2) 比較研究を行うための観察研究のデザインについて検討を行った。 1) については,これまでの数学教育の研究方法については,日本数学教育学会数学教育論文発表会で過去5年間に発表された論文約600編を精査し,理論研究,調査研究,実践・実証研究,授業分析,事例研究の5つに分類することで,数学教育の研究方法の実態を明らかにした。この研究では,具体的なデータに基づいて議論している論文が全体の2割程度に過ぎないことや,これらの論文の中でもデータ数が80名以下の調査研究が多いことを明らかにした。このように,クラス単位や学年単位の小規模の調査が多く,このように少人数の調査をエビデンスとして用いる際の具体的な方法の必要性が示された。 2) については,具体的な観察研究のデザインを例示することに必要性について議論し,長期にわたる追跡調査や観察研究における比較研究の方法について検討を行った。その結果として,具体的な課題を設定して,平成22年度と平成23年度の2回に渡って同じ調査を実施する形の研究デザインを計画し,実際にこの研究方法を実施することを通して,このような比較研究を行う際のデザインのポイントや課題を今後検討していくことになった。
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Research Products
(2 results)